2007年ヒット商品番付 閉塞感を抜け、明るく消費を楽しむ時代に

2007年は景気回復感が広がり、消費行動にも明るさが垣間見えた年となった。消費者は安定より変化を求め、前年の『顧客価値創造』という流れに乗り、ちょっとした贅沢を味わう『プレミアム』指向が定着。また個人消費の多様化・細分化に対応して、他企業などと提携してシナジーを狙う商品が急増。小粒ながら、連打で売上を伸ばす『イチロー型商品』が実力をみせつけた。

今年もやっぱりニンテンドー!

今年、横綱の風格をみせたのは「ニンテンドーDS」&「Wii」。「ニンテンドーDS」は、2004年12月の初出荷以来3年間で約2000万台、「Wii」は2006年12月の新発売以来10ヶ月で約360万台を販売。「Wii」の対応ソフト「Wiiスポーツ」の手軽さは、ゲーム機器の利用シーンを大きく変えた。昨年から売れ続けた『大型薄型テレビ』の置かれたリビングが、ゲームを通じたコミュニケーションにより家族の絆を確認する場となり、大ヒットに結びついた。

相乗り効果で、通勤の新習慣が生まれる

先行していた非接触型ICカード「Suica」などとのシナジーで大ヒットしたのは「PASMO」。3月のサービス開始以来4日間で100万枚、14日間で200万枚をそれぞれ発行。ICカードの在庫が不足し、4月中旬から9月上旬まで定期券以外の「PASMO」発売を中止する異例の対応を余儀なくされたものの、販売の再開直後に累計発売枚数が500万枚を突破。公共交通機関における非接触型IC乗車券の利用が新習慣として定着した。電子サイフ機能とのシナジーをバネに利便性を訴求することによって、さらなるマーケットの拡大を狙っている。


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ちょっと贅沢に『プレミアム商品』で演出

景気の先行きの明るさを感じた消費者は、我慢の消費を続けながらも、休日や記念日などの「ちょっと特別な日」に、ちょっとした贅沢を演出できるプレミアム商品への消費を拡大。その代表格サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」は発売3年になるが、本年8月に昨年の年間販売数550万ケースを突破するなど、今年も快進撃を続けた。


ベストセラー『不都合な真実』の著者であるゴア前米国副大統領がノーベル平和賞を受賞したこともあり、今年はエコが日常生活に定着した年となった。これまでエコといえば生真面目な活動という印象があったが、今年はプレミアムの流れで「アニヤ・ハインドマーチ」などの高級ブランドを冠した エコバッグも登場。一部の高級エコバッグは、限定販売の商品を求める消費者が殺到し、消費者が店舗の外に長い行列を作るほどの人気となった。


オシャレな街角に、プレミアム感がありコンセプトを明確にしたデザインカフェが相次いで登場、お寺のボーズカフェも人気となる。表参道でオープンした期間限定の「高野山カフェ」は、写経サービスなどが受け、連日行列ができる盛況ぶりで、築地本願寺境内には「カフェ・ド・シンラン」が登場。また鉄道ファンが集う「鉄カフェ」やジャズファンが集う「ジャズカフェ」も人気スポットとなる。家庭でも、カフェで出されるメニューを楽しむ動きがみられ、カフェ化の傾向が顕著だった。


職住分離の時代に、子供向けに本物の仕事体験を提供するキッザニア東京は、仕事のテーマパークとして約70社の企業が織りなす究極のシナジー空間となり、年間入場者数は80万人を突破。2007年度のグッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)を受賞した。また、六本木の旧防衛庁跡地に総事業費約3700億円をかけて誕生した東京ミッドタウンは、3月末の開業から1カ月間で来街者数は400万人を超えた。美術館などの文化施設と連動した新しい「プレミアムな街」に、7ヶ月間で2000万人が訪れた。

積極派は、ビリーVSメガマックの対決に

昨年話題のメタボリックが、今年は二つの方向に割れた。一つは激しい全身運動を実践する流れで、昨年発売された 「ビリーズブートキャンプ DVD版」がブレイク。7月までに100万セットを売り上げた。その対極として出てきたのが、我慢せずに超大盛り商品を買い求める動き。1月に期間限定で販売した「メガマック」は、人気のあまり販売期間を1カ月間延長。3月までに累計1,150万食を販売し、その後も期間限定での販売を積み重ねて、全体売上を底上げした。この流れはすき家「メガ盛り」やコンビニ「メガ弁」に波及した。


元タレントの東国原宮崎県知事がPRした宮崎ブランド。知事のイラスト付グッズは500種類以上が登場しており売上が急増。前年のナンバーポータビリティで勇み足の感があったソフトバンクが「ホワイトプラン」を掲げた広告攻勢でリベンジを試み、9月には新規累計800万件を突破した。


 秋川雅史の歌う「千の風になって」は、前年のNHK紅白歌合戦の出場がトリガーとなってブレイク。クラシック歌手による100万枚突破は初めてのこと。120億円という破格の移籍金で話題となった「松坂大輔」投手を擁するレッドソックスは、MLBワールドシリーズで優勝した。


前年ベストセラーの「国家の品格」に続き、女性の自立に目を向けた坂東眞理子著「女性の品格」が登場、今年の販売数は10月までで累計170万部を超えた。また普通の若者がケータイで書いたケータイ小説から数十万部のベストセラーが続出。中でも「恋空」は映画化され、マスコミでも大いに話題となった。


技術大国日本ならではの商品として顧客価値創造を果たしたのが、フリクションシリーズ。消えるインクという新技術を使った「フリクションライン」や「フリクションボール」が登場し、3月に売り出された「フリクションボール」は年間800万本に迫る勢い。また、汚れを落とす使用実感を重視し、効果の「見える化」を『泡』機能で示したチャーミー「泡のチカラ」がヒット。発売1カ月で売上1000万個を記録した。


米国でヒットした「クロックス」は、2006年10月から2007年9月までに日本市場でも約280万足を販売。同じく、海外で大ヒット中の低価格フレグランス「AXE」は、3月の日本上陸以来、刺激的CMが奏功し、若い男性御用達の商品として8月末までの半年間で累計650万本を出荷した。


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(注)本番付は、大相撲の番付の形式を採用しているため「東」と「西」に分かれていますが、選ばれた商品と地理的な東西の関係は一切ありません。対象は、個別の商品に留まらず、一定のカテゴリーの商品群や人物・社会現象等を含みます。また、番付の順位は、出荷台数、売上高等の実績だけでなく、マーケットに与えた意義やインパクト、今後の成長性等を総合的に判断し、決定したものです。


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