Netpress 第2463号 【2025年最新版】 人事・労務分野の法定保存文書一覧

会社が日常的に取り扱う文書には、法令により定められた年限(期間)の保存が義務づけられているものがあります。こうした文書は「法定保存文書」と呼ばれ、適切に管理・保存する必要があります。
以下では、人事・労務分野の主な文書と保存年限を一覧にしましたので、業務の参考にしてください。
分野 | 文書名 | 起算日 | 根拠条文 | 保存年限 | |
労 働 条 件 | 労働者名簿 | 死亡・退職・解雇の日 | 労基法109、143、労基法施行規則56、国税通則法70、71、72、73※1 | 原則5年(当分の間は過経過措置として3年)※2 7年※1 | |
賃金台帳※1 | 最後の記入日、法定申告期限※1 | ||||
雇入れ・退職・解雇に関する書類 | 死亡・退職・解雇の日 | ||||
災害補償に関する書類 | 災害補償の終わった日 | ||||
賃金その他労働関係の重要書類(賃金決定関係書類、出勤簿、労使協定書※3、労働時間を記録するタイムカード、残業命令書など) | 完結の日(一般には、労働者がその事業所を退職等した日。以下同じ) | ||||
企画業務型裁量労働制についての労使委員会の議事録 | 開催日 | 労基法施行規則24の2の4 | |||
年次有給休暇管理簿 | 当該有給休暇を与えた期間の満了日 | 労基法施行規則24の7 | |||
高度プロフェッショナル制度についての労使委員会の議事録 | 開催日 | 労基法施行規則34の2の3 | |||
労 働 安 全 衛 生 | 労働安全衛生法令に規定されるボイラーその他の機械等(プレス機械、遠心機械など)について実施する定期自主検査の記録 | 作成日 | 安衛法45、安衛法施行令15、労働安全衛生規則135の2、ボイラー則32など | 3年 | |
安全委員会議事録、衛生委員会議事録、安全衛生委員会議事録 | 開催日 | 労働安全衛生規則23 | |||
救護に関する訓練の記録、危険・有害業務に従事するときの安全衛生のための特別教育の記録 | 実施日 | 労働安全衛生規則24の4、38 | |||
一般健康診断個人票 | 作成日 | 労働安全衛生規則51 | 5年 | ||
長時間にわたる労働に関する面接指導の記録 | 作成日 | 労働安全衛生規則52の6 | |||
労 働 安 全 衛 生 | ストレスチェック結果の記録※4、ストレスチェック面接指導結果の記録 | 作成日 | 労働安全衛生規則52の13、52の18 | 5年 | |
特殊健康診断個人票 | 作成日 | 有機則30、鉛則54、四鉛則23、特化則40、じん肺法17、石綿則41など | A: 5 年 B: 7 年 C:30年 D:40年 | ||
A:有機溶剤、鉛、四アルキル鉛、特定化学物質、高気圧業務 B:じん肺 | C:特定化学物質のうち特別管理物質、電離放射線、除染等電離放射線 D:石綿 | ||||
作業環境測定記録(気温・湿度・ふく射熱、騒音、有機溶剤、鉛、特定化学物質、放射性物質、石綿、粉じんなど) 作業環境測定結果の評価記録(有機溶剤、鉛、特定化学物質、粉じん) | 作成日 | 有機則28、粉じん則26、26の2、石綿則36など | 3年〜40年 | ||
労 働 保 険 | 労災保険に関する書類 | 完結の日 | 労災法施行規則51 | 3年 | |
労働保険の徴収・納付等の関係書類 | 完結の日 | 労働保険徴収法施行規則72 | |||
雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿 | 完結の日 | 4年 | |||
雇用保険の被保険者に関する書類(雇用保険被保険者資格取得等確認通知書、同転勤届受理通知書、同氏名変更届受理通知書など) | 完結の日 | 雇保法施行規則143 | |||
その他雇用保険に関する書類(雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届など) | 完結の日 | 2年 | |||
健康保険・厚生年金保険に関する書類(被保険者資格取得・資格喪失等確認通知書、標準報酬決定通知書、標準報酬改定通知書など) | 完結の日 | 健保法施行規則34、厚年法施行規則28 | |||
そ の 他 | 派遣元管理台帳、派遣先管理台帳 | 労働者派遣の終了の日 | 派遣法37、42、派遣法施行規則32、37 | 3年 | |
雇用する労働者が障害者であることを明らかにすることができる書類(診断書など) | 死亡・退職・解雇の日 | 障害者雇用促進法施行規則43 | |||
家内労働者帳簿 | 最後の記入日 | 家労法27、家労法施行規則24 | 5年 | ||
- | 家内労働手帳※5 | 最後の記入日 | 家労法施行規則1 | 2年 |
※1 国税通則法に基づく保存期間は7年。なお、青色申告法人には、欠損金の生じた事業年度の帳簿書類等を当該事業年度終了の日の翌日から10年間保存する義務がある(法人税法150の2、法人税法施行規則26の3、59、66、67)。
※2 労働基準法の改正により、2020年4月から賃金請求権の消滅時効期間が2年から「5年」に延長されたが、経過措置として、当分の間は「3年」が適用。これに伴い、賃金台帳等の書類保存義務(法定保存期間)も原則として5年、経過措置として、当分の間は「3年」が適用。
※3 労使協定書などの重要書類については、実務では永久保存としている事例も見られる。
※4 労働者の同意を得て、当該検査を行った医師等から当該労働者の検査結果の提供を受けた場合、事業者に5年保存を義務づけている。
※5 家内労働手帳は、家内労働者に2年保存が義務づけられている。
■以下は、法定の保存年限の定めはないものの、文書の性格上、保存が必要と考えられている文書
文書名 | 根拠法令等 | 保存年限の目安 | 備考 |
従業員の身元保証書、採用の際に従業員の提出する誓約書などの書類 | 身元保証法1、2 | 5年 | 身元保証書の有効期間は、定めがあれば5年まで、なければ3年となる |
欠勤願、休暇届、遅刻・早退届等 | 労基法109、143 | 3年〜5年 | 「その他労働関係に関する重要な書類」に準じる |
◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちらhttps://www.njg.co.jp/
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