【連載】日本再興の鍵はSXにあり 待望される「ポスト株主至上主義」。VUCA時代に出現したステークホルダー資本主義とは

WEBメディア「coki(コウキ)」を運営している株式会社Saccoの加藤俊です。この連載コラムは、主に中堅中 小企業を対象にして、持続可能な社会づくりにどうやって適合していけばよいのかを一考するものです。そのため、SDGsやESG、ステークホルダー資本主義といった海外から流入してきたメガトレンドを紐解きながら、時には歴史を遡り、江戸時代の石田梅岩や近江商人の「三方よし」に代表されるような伝統的な日本式経営の価値観とトレンドとのすり合わせを試みたいと考えています。

ポスト株主至上主義。ステークホルダー資本主義とは

今回は、ステークホルダー資本主義とSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)について見ていきたいと思います。


2019年8月19日は、株主至上主義の終焉を告げる一日となりました。長らく、企業は誰のものか、という問いには「株主のもの」と答えることがグローバルスタンダードでの模範解答と言える時代が続いてきたのです。


アメリカに「ビジネス・ラウンドテーブル[Business Roundtable](以下、BRT)」という経済団体があります。1972年に設立され、アメリカの主要企業約200社のトップが会員となり構成されています。いわゆるアメリカ版経団連とも呼べる団体です。


BRTはコーポレート・ガバナンスの原則を1978年以降定期的に発表しています。実は企業は第一に株主に仕えるために存在するという「株主至上主義」「株主主権主義」「株主第一主義」の原則が金科玉条として20年以上も世界中の産業界で幅を利かせてきたのも、BRTが出した1997年の声明が大きな要因として挙げられています。


BRTは8月19日の声明で、これからの企業は株主のみのものではなく、顧客や社員、サプライヤー、地域社会、株主など全てのステークホルダーに仕えるようシフトすべきと発表しました。署名には、アマゾンやアップル、JPモルガン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、バンク・オブ・アメリカなど183社のCEOたちが名を連ねました。


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プロフィール

株式会社Sacco(サッコ) 代表取締役 加藤 俊

様々な業種業態の企業を取材して、サステナブルな企業がマルチ・ステークホルダーを重視した経営を行っていることに気付く。2015年8月株式会社Sacco設立。2017年9月一般社団法人100年経営研究機構 『百年経営』編集長。社会的養護の自立を応援するヒーロー「くつべらマン」の2代目。一般社団法人SHOEHORN 理事。養護施設、矯正施設の出身者の社会復帰支援に取り組む。法人のサステナビリティ(持続可能性)や非財務情報を可視化するWEBメディア「coki(コウキ)」を運営。

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