株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【受託製造】23年12月

【業界アウトライン】
受託製造は、医薬品、健康食品、化粧品等の分野で行われている。各業界では自社製造するメリットが低い製品中心に外部委託することで、コストダウンを図っており、資本を製品の企画開発・プロモーションに集中させる傾向にある。

医薬品受託製造市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年度の医薬品受託製造市場規模は、4,430億円(対前年度比103.7%)と見込まれる。

・同市場は、既存長期収載品の生産量は減少が見込まれるものの、新たに特許切れとなる長期収載品や、ジェネリック市場の伸長などにより、引き続き安定的な推移が見込まれる。

・一方で、市場拡大を受けて新規参入が増加するなど、事業者間の受注競争は激化している。

業界動向/事業者動向

・同市場では、大手製薬企業を中心に製造委託がさらに拡大すると見込まれるほか、ジェネリック市場拡大に伴う共同開発案件の増加、参入事業者の増加と営業展開の強化、製造受託事業者の設備増強や品質レベルの向上に伴う信頼性の向上などを背景に、受託案件の増加と大型化が進むと見込まれる。
・同市場は、受注競争が激化する中、参入事業者においては、製剤技術の向上や製剤研究の強化、開発段階から参画する共同開発型受託を目指すなど、差別化により価格競争からの脱却を図る動きがみられ、その中でも、近年は特別な設備が必要とされる高薬理活性製剤への対応を強化する動きがみられる。

健康食品受託製造市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年度の健康食品受託製造市場規模は、1,708億7千万円(対前年度比102.0%)と見込まれる。

・同市場では、原材料費や加工費の値上げのほか、人手不足から受託製造事業者間での取引も増加することで、市場規模にプラスに働くとみられる。

・同市場は、新型コロナの影響収束に伴う国内外からの受注回復などが期待されるものの、今後も不透明な原材料やユーティリティ価格の動向、人手不足や賃上げなどの対応が課題となる。

業界動向/事業者動向

・健康食品市場は、国内での大幅な成長が見込みにくい一方、インバウンドを含めた海外需要の拡大が期待されることから、受託製造事業者においては、海外向け受注の獲得増加により売上増が見込まれる。
・一方、長期的には、国内の健康食品市場の牽引役であった機能性表示食品が、研究レビューの厳格化などの制度上の問題に加えて、ヘルスクレイムについても表現の一巡化の様相が強まっており、消費面での勢いが徐々に弱まることも予想される。そのため、健康食品市場全体の成長性が緩やかになることで、健康食品の受託製造市場もこれに比例して推移するとみられる。


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