Netpress　第2464号はじめが肝心　新社長就任挨拶の心得とスピーチの文例

2025/06/09 リーダーシップコミュニケーション経営者・経営幹部・管理職 Netpress
SMBCコンサルティング株式会社ソリューション開発部経営相談グループ

Point
１．６月の定時株主総会や取締役会の決議を経て、社長が交代する会社も少なくないでしょう。
２．ここでは、新社長就任の挨拶のポイントを確認するとともに、スピーチの文例を紹介します。

株式会社スピーキングエッセイ

大嶋友秀

新社長に就任する際の挨拶は、社内外から大きな注目を集めることになります。

何事もはじめが肝心です。新社長就任の挨拶で、どのように、自分を聞き手に印象付けるかが、その後の経営の舵取りにも少なからず影響を与えます。

１．信頼と支持を獲得するために

　以下に示した６つのポイントを意識すれば、聞き手の信頼と支持を獲得する新社長就任の挨拶ができるでしょう。

新社長就任の挨拶のポイント
①	感謝を表明する	社長就任は、これまで支えてくれた人たち（前任者や社員など）の存在があってこそです。まずは、そうした人たちに感謝の意を表明しましょう。
②	会社の現状に対する認識・理解を示す	社長に就任した立場から、会社の現状をどう認識しているか、またどのような必要性を感じているかを伝えましょう。そのうえで、会社のメンバーと協働していく姿勢を打ち出します。
③	将来像やビジョンを共有する	会社の将来像や自身が目指すべきビジョンを明確にし、それらを聞き手と共有することで、今後の方向性を明確にします。
④	誠実さ、真摯さを表現する	誠実かつ真摯な態度でスピーチをすることで、聞き手から信頼を得ることができます。そのために、自分の感情や考えを平易な言葉で表現することが、聞き手に対する敬意につながります。
⑤	あらためて協力と支援を呼びかける	社長就任により、関係者や社員とのこれまでの関係性が変化するので、あらためて協力と支援を求め、チームワークを高めます。
⑥	前向きな姿勢を示す	自身の経歴や強みを織り交ぜつつ、困難に直面しても乗り越えていく決意と前向きな姿勢を示します。

２．注意したいNGポイント

　以下は、挨拶に際して避けるべきポイントです。せっかくの挨拶が台無しにならないように注意しましょう。

注意したい挨拶のNGポイント
①	自己中心的な話をする	これまで自分の成果や能力、経歴を大げさにアピールすることは避けましょう。自信家で自己中心的だと思われると、協力関係を築きにくくなります。
②	過剰に謙遜する	過剰に謙遜して自身の存在感を否定するような言い方に注意しましょう。謙虚さは必要ですが、それが過剰になると自信がない印象を与えます。
③	不平や不満を漏らす	役員や幹部、関係者、前任者や過去の経営陣を批判することや不満を漏らすことは避けましょう。社長としての信頼を損ねることになりかねません。
④	不用意（無責任）な発言をする	ついつい言葉が先走った発言をしてしまうこともあります。覚える必要はないですが、原稿を書いて準備をすれば不用意な脱線を避けられます。
⑤	挨拶が長過ぎる・短過ぎる	挨拶が長いと、聞き手は集中力を欠いてしまい、よい内容でも聞き手に届きません。一方、挨拶が短過ぎると、リーダーシップや意欲がないように思われかねません。内容にもよりますが、必要な情報を簡潔に盛り込み、時間の目安としては３〜５分前後を意識して話すのがよいでしょう。

３．新社長就任の挨拶の文例（社内での挨拶を想定）

　下は、新社長就任にあたっての社内での挨拶の文例です。

　みなさん、こんにちは。私は、このたび社長に就任することになりました。この場を借りてご挨拶させていただきます。
　まずは、今まで社長を務めていた○○さんに、多大なる感謝の意を表します。今後も引き続きご指導いただけますようお願い申し上げます。
　さて、私が初めてこの会社を訪れたのは、まだ学生だった頃です。当時から、この会社が持つ独自性や、社員の方々の情熱、そして社会に貢献する志に共感を覚えていました。
　これまでさまざまな困難に直面しながらも、社員の方々が頑張ってきたことに、心から敬意を表します。本当にありがとうございます。
　私は、今後もこの会社を、皆さんと一緒に、力を合わせて成長させていきたいと思っています。私たちの会社は、他社にはない強みを持っています。それを、この先も大切にしながら、新しい可能性を模索し、新たなビジネスモデルを構築していくことが、私たちの使命だと考えています。
　社員の方々には、これからも柔軟な発想やアイデアを出していただきたいです。社員一人ひとりが持つ独自の力を、会社全体の力に変えていくことが、私たちの未来を切り拓くために不可欠です。何か困ったことがあったら、遠慮せずに声を上げてください。助けを求めてください。そうすることで、全社一丸となって困難に立ち向かっていくことができます。
　最後になりますが、私たちの会社は、より良い社会のために貢献することが使命です。私たちが作り出す製品やサービスが、人々の暮らしや社会に良い影響を与えることを目指して、一緒に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。

◎協力／日本実業出版社

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