株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【住宅】23年12月

【業界アウトライン】
国土交通省「建築着工統計」(2022年度計)によると、2022年度の新設住宅着工戸数は860,828戸(対前年度比99.4%)、そのうち、新設持家着工戸数は248,132戸(対前年度比88.2%)で、住宅価格の上昇により減少した。

複層ガラス市場


※出典 22年度まで経済産業省「生産動態統計調査」、以降矢野経済研究所推定


市場環境

・2023年度の複層ガラス市場規模は、850億円(対前年度比107.6%)と見込まれる。

・同市場の参入事業者は、ガラスメーカーのほか、サッシメーカーなどがサッシに複層ガラスを使用しており、市場を牽引している。

・複層ガラスの需要分野は、産業用と建築用に大別され、産業用はコンビニエンスストアやスーパーの冷凍・冷蔵ショーケースなどに使用されている。

業界動向/事業者動向

・建築用複層ガラスは、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)などの脱炭素住宅化の動きに伴い、環境対応アイテムとして普及・浸透してきている中で、2050年まで温室効果ガス排出を実質ゼロとする脱炭素社会に向けた取り組みが掲げられたことから、複層ガラスの普及は今後も進むものと見込まれる。
・同市場では、住宅価格の上昇から着工数は伸び悩むものの、脱炭素社会の流れや地政学的リスクに伴う光熱費の高騰から、省エネ基準適合住宅の動きが急速に高まるとみられ、複層ガラスLow-E(低放射)や複層ガラスLow-Eガス入り、3枚化など高機能化が進むことで、戸当たり金額の伸長が見込まれる。

樹脂サッシ市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2023年度の樹脂サッシ市場規模は、842億4千万円(対前年度比130.0%)と見込まれる。
・同市場には、アルミサッシ系メーカー及び樹脂系メーカー、硝子メーカーが参入している。
・住宅用サッシは、住宅性能の更なる高気密・高断熱化、及びZEH化などにより、今後もアルミサッシ単体からアルミ樹脂複合、樹脂サッシといった高性能サッシにシフトしていくものとみられる。

業界動向/事業者動向

・同市場は、新築住宅着工数が伸び悩む中でも、ユーザーの省エネ・節電志向の高まりを背景に堅調に伸長している。さらに、2050年カーボンニュートラルに向けた「ZEH住宅」推進など、政府の省エネ推進政策によって、より断熱性に優れた樹脂サッシの採用率向上が見込まれる。
・一方、事業者においては、2022年10月の断熱性能5・6・7等級新設や、2025年の住宅における断熱等級4以上の適合義務化を受けて、断熱等級アップに対応したトリプルガラス製品や5層ガラス製品など高機能化に取り組む動きがみられ、高断熱化志向が高まる中で樹脂サッシの需要拡大が見込まれる。

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