株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【卸売・小売】23年12月

【業界アウトライン】
2022年のインポートブランド小売市場規模は、2兆8,894億円(前年比29.9%増加)で、価格値上げ等が影響し、近年で過去最高を記録したコロナ禍前の2019年のマーケットサイズと比較しても、19年比112.1%と一層の拡大となった。

インポート小売市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年の衣料品・服飾雑貨インポート小売市場規模は、1兆8,289億円(対前年比114.5%)、衣類・服飾雑貨以外も含めた広義のインポート小売市場は、3兆3,594億円(対前年比116.3%)と見込まれる。

・同市場は、衣類・服飾雑貨以外として、ウォッチ、ジュエリー、クリスタル製品・陶磁器、筆記具、アイウェアを対象としている。

業界動向/事業者動向

・2023年は社会全体がコロナ禍前に急速に戻っており、復活した“コト消費”に合わせて“モノ消費”も発生している。マーケットを支える国内富裕層においては、依然として旺盛な消費が継続しており、加えてインバウンド需要も加速することから、同市場は拡大基調で推移すると見込まれる。
・一方、円安基調に伴う商品価格値上げで、今までのようにブランド品を購入できなくなる顧客層が出てきていることから、人気ブランドでは主力商品の値上げを続けながら、購入可能な価格帯のアイテムラインナップを拡大する戦略を進めており、中価格帯のブランドにも同様の動きが広がるとみられる。

インポートブランドEC小売市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2023年の衣料品・服飾雑貨インポートブランドEC小売市場規模は、2,300億円(対前年比114.4%、EC化率12.6%)と見込まれる。同市場は、ジャパン社やインポーターのEC売上高に加え、ジャパン社の売上にカウントされない本国経由のブランド売上高や並行輸入の売上高も含まれている。
・同市場は年々増加傾向であるが、ECで取扱いのない高額アイテムが店頭にあることから、EC売上高は増加してもEC化率は低下することがある。

業界動向/事業者動向

・インポートブランドにおいても、ECは成長販路となっており、数年前のECへの注目は、若年層の取り込みというレベルに止まっていたが、コロナ禍を経て幅広い世代の利用が促進されたことで、ECの売上高が2番店、3番店のレベルへ上がっていくなど、売上規模は右肩上がりで年々増加している。
・一方、コロナ明けによる人流の増加やインバウンドの増加から、人員体制を再度拡大したいブランドが増えているが、人材不足の中で絶好調のブランドであっても、リアル店舗の数を絞り、優秀な人材は主要店舗に集めて、他エリアはECでカバーするという戦略を検討する動きも出てきている。

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