株式会社矢野経済研究所提供注目市場レポート【事業者向けサービス】23年12月

【業界アウトライン】
経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、2022年の対事業所サービス業の売上高等は119兆9,634億円（前年比111.3％）であった。中でも、クレジットカード業、情報サービス業、機械設計業の売上高等が伸長した。

従業員エンゲージメント診断・サーベイクラウド市場

※出典矢野経済研究所

市場環境

・2023年の同市場規模は、80億円（対前年比121.2％）と見込まれる。従業員エンゲージメントとは、一般的には従業員の企業への愛着心や信頼、企業に対する自発的な貢献意欲を指す言葉である。

・同市場では、従業員エンゲージメントを数値化し測定するツールとして提供されるSaaS型のサービスを対象としている。国により上場企業の人的資本情報の開示が義務化された影響で、従業員エンゲージメントに対する注目度は非常に高まっている。

業界動向／事業者動向

・同市場の立ち上がり当初は、スタートアップやベンチャーに導入されるケースが多かったが、近年では従業員を多く抱える大企業での採用が増えていることから、市場は拡大基調で推移している。また、人的資本経営やSDGs、ESG投資等に対する企業の関心の高まりも市場拡大を後押ししている。

・一方、同市場では、診断・サーベイによる従業員エンゲージメントスコア可視化の段階から、離職率低下、組織業績の向上など、如何に成果に結びつけられるかの段階に入っており、事業者においては、従業員エンゲージメントと他のサーベイを組み合わせるなど、サービスの複合化が進んでいる。

ダイレクトリクルーティングサービス市場

※出典矢野経済研究所

市場環境

・2023年度の同市場規模は、1,068億円（対前年度比123.5％）と見込まれる。

・ダイレクトリクルーティングサービスは、Web上で求人企業が求職者へ直接アプローチ・コンタクトをとる採用手法を対象としている。

・近年、同サービスは、求人情報サービスや人材紹介など、従来型の人材サービスとは異なる新たな採用手法として定着しつつある。

業界動向／事業者動向

・同市場は、利用企業においてDX人材など特定のポジションに対する採用需要が高まる中で、マッチングにエージェントを介さないため人材紹介よりも安価に利用でき、求人情報サービス等に比べて採用要件を満たす人材へ直接アプローチしやすいことから、導入企業が順調に増加し、拡大基調にある。

・一方で、同サービスは、利用企業にとって候補者の選定やスカウト文の作成など作業工数が多く、採用担当者の負担となりやすいことから、参入事業者においては、生成AIを活用した機能拡充やサービス強化など、利用企業の負担軽減とスカウトの質の担保・向上を図る動きが求められている。

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