株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【ICT】23年9月

【業界アウトライン】
デジタル庁の「Web3.0研究会報告書」によると、Web3.0推進のための環境整備に向けて、分散型アイデンティティにおける公的個人認証を活用した本人確認や、メタバース利活用の可能性などについて検討が進められている。

eKYC(electronic Know Your Customer)/当人認証ソリューション市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年度の同市場規模は、89億9,300万円(対前年度比130.0%)と見込まれる。

・eKYCとは、オンライン等の非対面・デジタル上で行う本人確認を指し、当人認証ソリューションとは、本人確認済情報を活用した当人認証を指す。

・デジタル庁がeKYCを公的個人認証に一本化する方針を発表しており、eKYCサービス提供事業者の対応に注目が集まっている。

業界動向/事業者動向

・eKYCは、2018年11月の犯収法改正を契機として金融機関を中心に導入検討が進み、銀行での導入が進んだことに加え、利用回数の多い口座開設等への活用が中心であることから利用が拡大したほか、銀行以外の金融機関での導入や、非金融における本人確認厳格化の流れにより今後も拡大が見込まれる。
・当人認証ソリューションは、犯収法や携帯電話不正利用防止法等の法令に則った、eKYCによる本人確認済情報を活用した当人認証手段であり、本人確認の簡素化や継続的な顧客確認が可能となるため、eKYC市場の拡大につながる重要な領域として、各eKYCサービス提供事業者の取組みが増加傾向にある。

メタバース市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2023年度のメタバース市場規模は、2,851億円(対前年度比207.1%)と見込まれる。
・メタバースとは、仮想と現実を融合したインターネット上に構築された3次元の仮想空間で、ユーザーがアバターを操作し、他ユーザーとの交流や、サービスやコンテンツが利用できる環境を指す。
・同市場は、法人向けメタバースが先行して立ち上がり、ビジネス用途のサービスが普及し、以降コンシューマー市場に浸透していくものとみられる。

業界動向/事業者動向

・メタバースの活用用途は、現状法人向けではバーチャルイベントとプロモーション、ブランディングコミュニケーションに偏っている傾向がみられるが、今後は業務効率化、成約率の向上、自動化などの企業のDXに活用するオペレーション領域での取組みが増加していくと見込まれる。
・そのほか、AIはメタバースと親和性が高いことから、メタバース参入事業者の中には、AI関連で様々な研究開発を行っている企業も多く、メタバースは3D空間の中で莫大なデータが日々蓄積されていくため、大規模データ処理をしてAIを活用するサービスは今後増えていくものとみられる。

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