株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【運輸・倉庫】23年9月

【業界アウトライン】
2022年度の物流総市場規模は24兆6,005億円(前年度比106.1%)で、国内物流は食料品等の値上げによる消費活動低迷を受け、物量は横ばい~微減傾向で推移、運賃等の物流費が増加するため、市場規模としては拡大見込みになる。

ラストワンマイル物流市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年度のラストワンマイル物流市場規模は、3兆1,940億円(対前年度比109.7%)と見込まれる。

・ラストワンマイル物流とは、配送先を一般の生活者に限定した物流としており、通信販売事業、ワンタイム型デリバリー事業、定期販売型デリバリー事業、個人間宅配事業の4分野に分類している。

・同市場では、通信販売事業が全体の約6割を占めており、通信販売の拡大と共に宅配便取り扱い個数が増加することで、市場は好調に推移している。

業界動向/事業者動向

・同市場は、コロナ禍での特需的な要素はなくなったが、荷物の小口化、配送頻度の増加、人件費や燃料費の高騰から物流コストの上昇などを背景に好調に推移しており、分野別では、フードデリバリー分野は微減したが、ネットスーパーや在宅配食サービスなど高齢者向け配送サービスは増加している。
・同市場では、既に大手宅配便事業者が届出運賃の改定を行っているほか、値上げを見送っていた事業者においても、2024年問題を前に運賃改定に乗り出す動きがみられる。さらに、オンライン服薬指導や電子処方箋の運用開始を受けて、処方薬の配送サービス需要が見込まれ、市場規模は拡大基調にある。

宅配便市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2023年度の宅配便市場規模(toC、toBいずれも含む)は、3兆1,000億円(対前年度比103.3%)と見込まれる。
・宅配便は、EC市場の貨物量の増加に伴い、取扱個数は堅調に推移するとみられ、市場規模も年々拡大すると見込まれる。また、宅配便事業者各社が運賃の値上げを発表したように、今後は価格要因による市場規模拡大も期待される。

業界動向/事業者動向

・同市場では、カーボンニュートラルや2024年問題への対応として、大手事業者同士が連携する動きがみられ、企業間競争の垣根を超えた協業の取組みは、宅配便業界の新たな潮流として注目を集めている。
・物流施策の指針を示す「総合物流施策大綱(2021-2025)」では、「過疎地域におけるラストワンマイル配送の持続可能性の確保」が挙がっており、人口減少や少子高齢化によって物流の維持が難しくなる地域が増える中で、大手事業者においては、旅客用のバス・鉄道等の空きスペースを活用して荷物を運ぶ貨客混載、共同配送の推進、ドローン物流の社会実装化など、実証実験に注力する動きがみられる。

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