株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【高齢者及び高齢者施設向けサービス】23年9月

【業界アウトライン】
2022年度の国内メディカル給食、在宅配食サービス市場規模は2兆3,142億円(前年度比101.0%)であった。病院給食は病院数と在院日数の減少で微減傾向にある一方、高齢者施設給食と在宅配食サービスは拡大傾向にある。

高齢者施設給食市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年度の高齢者施設給食市場規模は、1兆994億円(対前年度比102.1%)と見込まれる。

・同市場は、有料老人ホームと介護医療院が増加しており、施設の大半が給食を外部委託していることから、安定的に拡大している。

・2023年度の外部委託化率は、68.5%と見込まれ、新規施設の設立当初からの委託や、既存施設でも合理化の一貫から外部委託が進んでおり、同市場の委託数は今後も増加するとみられる。

業界動向/事業者動向

・同市場は、病院給食と比べて個別対応が少なく、医師や栄養士の管理指導が少ないことから、受託企業の裁量が発揮しやすい傾向にある。また、行事食やパーティー食など、付加価値の高い食事提供の機会が増えるために収益性が高いことから、参入事業者においては積極的な取組みがみられる。
・高齢者施設は、今後は家族を含む利用者にサービス内容で選ばれる時代となり、質の高い楽しい食事サービスは大きな選択要因となるほか、厚生労働省の施策によって高齢者施設での食費が個人負担化されたことで、栄養管理の点数化も重視されるため、給食サービス企業の腕の見せ所になる。

在宅配食サービス市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2023年度の在宅配食サービス市場規模は、1,780億円(対前年度比105.3%)と見込まれる。
・在宅配食サービスは、高齢者人口の増加と医療の在宅化を背景に、市場は拡大傾向にある。
・厚生労働省は、高齢者の栄養管理及び低栄養・フレイル予防の観点から、配食事業における栄養管理の在り方を示しており、地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の普及を後押ししている。

業界動向/事業者動向

・同市場では、コロナ禍で定温・チルドで提供される配食以上に冷凍弁当・惣菜の利便性が高く評価されたため、冷凍商材の拡充と生産体制の整備が行われ、事業者の中には常温形態の配食事業を取りやめて、冷凍形態の配食サービスを開始するなど、冷凍商材のブランド確立に注力する動きがみられる。
・また、国は地域包括ケアシステムの構築を推進しており、地域で生活支援や介護予防に取り組むとともに、介護が必要になった場合も在宅でのケアが重要視され、高齢化に伴う要介護認定者や糖尿病・腎臓病患者の増加も見込まれるため、在宅配食サービスの需要は今後も高水準で推移するとみられる。

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