株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【医療関連ビジネス】23年9月

【業界アウトライン】
2022年度の病院設備機器市場規模は、1,825億85.1百万円(対前年度比99.6%)であった。コロナ禍で延期された設備予算の復活執行があったものの、病院の収支悪化で予算額の縮小もあり、機器のグレードダウンが実施された。

病棟用汚物処理洗浄機市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年度の同市場規模は、11億8百万円(対前年度比101.4%)と見込まれる。

・病棟用汚物処理洗浄機は、中央材料滅菌室へ返却しない器材を熱処理で洗浄・消毒する装置である。

・同市場では、大中規模病院の新設・増改築時における導入が多かったが、病院建築件数が減少傾向に転じたことから、現在は更新需要が中心となっており、介護関連施設への導入が進むとみられる。

業界動向/事業者動向

・病棟用汚物処理洗浄機は、これまで病棟・汚物処理室など現場で処理されてきた汚物器具を、作業者への感染防止並びに省力化という観点から安全・短時間で消毒できるほか、汚物器具には薬液よりも熱を利用した消毒が有効であるため、標準予防策の考え方の普及から導入する施設が増加している。
・同市場では、製品納入単価が下がっていることで、今後も病棟用汚物処理洗浄機を設置する施設は増加していくものと考えられ、参入事業者においては、価格戦略に加えてメンテナンス・整備などのアフターサポート体制の整備が要求されていくものとみられる。

自動薬剤用分包機市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2023年度の同市場規模は、157億83百万円(対前年度比99.0%)と見込まれる。散剤用分包機の大手事業者が販売終了を発表しており、2023年度は販売なしと推察され、前年割れと見込まれる。
・自動薬剤用分包機は、コンピューターの処方箋に基づいて薬品名、用法、用量等をキーボードに入力することで、錠剤・カプセル剤もしくは散剤を1回服用分に包装する装置である。

業界動向/事業者動向

・自動薬剤用分包機は、電子カルテやオーダリングシステムなどの導入、もしくは更新時に導入されるケースが多いことから、総合的な提案力や電子カルテ等のベンダーとの関係性、薬剤・薬局管理システムの構築などのコンサルティング的業務が重要となってきている。
・同市場は、既存機器の更新需要が中心となっているものの、在宅業務の推進、後発医薬品への対応、大手ドラッグストアの薬局併設化による分包機の導入・増設などの需要、さらに薬剤師が対人業務を増やせるように、対物業務の自動化・機械化が必要とされており、自動分包機の導入も増加傾向にある。


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