株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【不動産】23年9月

【業界アウトライン】
総務省「経済センサス」によれば、不動産業界の従業者数は、2009年以降ほぼ横ばいでの推移だが、不動産管理業と貸家業・貸間業は大幅に拡大しており、賃貸や管理を行うストックビジネスへ業界がシフトしているとみられる。

総合デベロッパー関連不動産市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年の総合デベロッパー関連不動産市場規模は、15.78兆円(対前年比101.5%)と見込まれる。

・総合デベロッパーとは、住宅やオフィスビル、商業施設など様々な建物用途の不動産開発をし、大規模なまちづくりを手掛けている企業を指す。

・同市場では、不動産開発は成熟期を迎えつつあることから、不動産管理へ事業の重要性がシフトしていくとみられる。

業界動向/事業者動向

・不動産取引業の市場規模は、2015年以降、建設コストの高騰や技術労働者不足などによって不動産開発が縮小したことから、ほぼ横ばいで推移している。一方、不動産賃貸業・管理業の市場規模は、不動産ストックが毎年積み上がっており、増加傾向で推移している。
・各事業者においては、開発用地及び開発数が減少する中で、ZEBやICTを活用したスマートビルなど付加価値の高い開発に取り組む流れが加速するほか、既存の建築物も含め、管理や運用においてDX化やエリアマネジメントなどソフト面のサービス拡充による差別化に注力するとみられる。

コインランドリー市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2023年のコインランドリー市場規模は、1,012億円(対前年比100.3%)と見込まれる。

・コインランドリーは、高度なノウハウや専門知識が不要で、原則無人店舗で在庫リスクがないことから、不動産投資対象として注目されてきた。

・同市場は、投資対象としてのブームが落ち着いてきたことで店舗の増加率は鈍化しているものの、市場規模は依然として微増推移にある。

業界動向/事業者動向

・同市場では、異業種からの新規参入も増え競争が激化したことで、カフェやコンビニ、洗濯代行業などと併設した有人店舗のほか、IoT技術やスマホと組み合わせ、利用者の利便性を高めた設備機器も普及するなど、従来の競争軸とは異なるベネフィットの打ち出しが浸透し始めている。
・そのほか、近年、テーマパークで「料金変動」が話題となっているように、コインランドリーでも利用に応じて価格設定する動きや、気象データを活用し、需要に応じて利用料金を変動させるという動きもみられ、1回あたりの利用料金に幅を持たせることで、他店舗との差別化を図る動きがみられる。

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