株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【食品】23年6月

【業界アウトライン】
2022年度のニュートリション市場は、1兆7,136億円(前年度比102.1%)と見込まれる。人々のライフスタイルが多様化する中で、フェムケアフードや完全栄養食などの新興市場が急成長しており、若年層を中心に支持が高まっている。

フェムケアフード市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2022年度のフェムケアフード市場規模は、8億円(対前年度比888.9%)と見込まれる。

・フェムケアフードとは、生理やPMS(月経前症候群)、不妊、産前・産後ケア、更年期ケア等、女性が各ライフステージで直面する様々な健康課題の解決をサポートする食品を指す。

・同市場は、2021年頃から顕在化した新しい市場であり、消費者の認知度も低いが、大小様々な事業者が相次いで参入している。

業界動向/事業者動向

・同市場は、現状では生理・PMS、不妊、産前・産後ケア商品が中心に展開されているが、人生100年時代において、更年期及びポスト更年期のQOL向上が重要視されていることから、更年期ケア商品の拡充が予想され、今後数年で啓発と認知拡大が進むことで、市場規模の拡大が見込まれる。
・また、参入事業者においては、女性のヘルスリテラシーを向上させるために、女性特有の健康課題に関する情報提供や啓発活動が重要であることから、啓発プラットフォームの開設や医師などの専門家によるアドバイス、エビデンスがある論文などに基づいた情報発信に注力する動きがみられる。

完全栄養食市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2022年度の完全栄養食市場規模は、160億円(対前年度比246.2%)と見込まれる。
・完全栄養食とは、1食で1日に必要な栄養素の1/3以上を摂取できる食品、または33種類の必要栄養素をバランスよく含む食品で「完全栄養」であることを訴求する商品を指す。
・同市場は、コロナ禍での健康志向の高まりから需要が拡大し、事業者の新規参入が相次いでいる。

業界動向/事業者動向

・完全栄養食は、食味に関してビタミン・ミネラルなど栄養素特有の苦みやえぐみを感じることがあるため、各事業者においては栄養設計力や研究開発力(食品加工技術)を駆使して食味の改善に取り組んでおり、できる限り食品由来の原料を使用するなど安全性の訴求に注力する動きがみられる。
・同市場はまだ小さく、参入事業者の“完全栄養”の定義も様々で消費者の誤解を招く恐れがあり、そもそも栄養に関する知識を持っている人が少ないことから、消費者の栄養に関する知識向上と「完全栄養食」の認知拡大を図るためにも事業者側には情報発信や啓発活動の強化が求められる。

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