株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【医療】23年6月

【業界アウトライン】
2022年度のメディカルバイオニクス市場は6,777億72百万円(前年度比2.5%増)、カテーテル&チューブ、IVR製品市場は3,916億円(前年度比2.4%増)と見込まれる。いずれも、非侵襲・低侵襲に関する製品が拡大傾向にある。

人工肺市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2022年度の人工肺市場規模は、68億75百万円(対前年度比103.8%)と見込まれる。

・人工肺は膜型人工肺に、血液ポンプ、貯血槽、熱交換器、血液濃縮器、心筋保護装置、人工心肺用血液回路、送血フィルター等から構成される。

・同市場は、2020年初頭より新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の中、重症呼吸不全に対して行われるECMO症例が急増した。

業界動向/事業者動向

・同市場は、CABG(On Pump):冠動脈バイパス手術の症例の伸びが無いことから伸び率は鈍化しているものの、弁形成術や胸部大動脈瘤の外科的手術の手術件数は、新型コロナウイルスの感染拡大による症例減等の一時的な影響はあるが回復傾向にあり、比較的安定推移している。
・同市場では、回路における施設別オリジナル対応、オールインワンパック展開事業者が安定した実績を計上しており、製品機能を含めた個別競争力から、回路やパック加工ができる競争力に変化していると共に、自社で調達できない製品は、部分的に競合との提携が混在した市場形成が続いている。

血管診断系カテーテル市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2022年度の血管診断系カテーテル市場規模は、525億76百万円(対前年度比104.6%)、品目別では、IVUS・ICE:365億57百万円(同102.0%)、FFR/iFR:98億80百万円(同106.3%)、OCT:61億40百万円(同119.7%)と見込まれる。
・同市場は、IVUS・ICE(血管内超音波プローブ・心境内超音波プローブ)、FFR/iFR(冠動脈造影用センサー付ガイドワイヤー)、OCT(血管内光断層撮影システム)を対象としている。

業界動向/事業者動向

・血管診断カテーテルでは、不整脈に対するアブレーション治療のうち、AF(心房細動)症例に対してIVUS・ICEが90%以上で採用されているとみられる。また、FFR/iFRについては、安定狭心症に対する虚血評価がPCI(経皮的冠動脈形成術)の保険算定要件となったことで使用本数が増加傾向にある。
・OCTは、近赤外線と光干渉計を用いて、血管や組織の詳細な断層画像を得る超高解像度画像技術で、血管診断において、現時点ではエビデンス、造影剤使用量、組織性状診断の点でIVUSが最も利用されているが、今後新デバイス等が発展、普及した場合には、OCT解像度の優位性が増す可能性がある。

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