株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【建設】23年6月

【業界アウトライン】
国土交通省の「建築着工統計」によると、2021年度の建設総市場規模は22兆4,864億円(前年度比110.1%)で、政府の住宅取得関連支援策の一部延長などにより住宅市場が回復したほか、オフィス、工場、物流倉庫需要が拡大した。

工場市場


※出典  ①:国土交通省「建築着工統計」 ②:①を基に矢野経済研究所推計


市場環境

・2021年度の工場市場規模は、1兆5,911億円(対前年度比123.4%)であった。

・同市場は、建築着工統計における使途別“工場及び作業場(物品を製造又は修理する場所)”を対象としている。

・同市場では、昨今の人手不足の慢性化と、将来的な就業人口の減少に備え、工場で働く労働者の負担軽減と自動工程の拡大が急務となっている。

業界動向/事業者動向

・同市場では、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻を契機に、政府による生産拠点の国内回帰の推進と国産半導体強化の動きがみられ、国内の半導体メーカーにおいて、半導体関連及び同製造装置の工場棟新設計画が複数進行中であり、当面は建設ラッシュが続くと見込まれる。
・同市場は、脱炭素化に向けた工場の電化と再生可能エネルギーの導入が注目されており、鉄鋼業で電炉への切替えなど大規模な設備投資が進むほか、鉄鋼業以外でも太陽光発電システムや燃料電池、蓄電システム等の導入が進むことで、工場の要件も再エネ導入を前提とした仕様にシフトするとみられる。

物流倉庫市場


※出典  ①:国土交通省「建築着工統計」 ②:①を基に矢野経済研究所推計

市場環境

・2021年度の物流倉庫市場規模は、1兆7,236億円(対前年度比108.2%)であった。
・同市場は、建築着工統計における使途別“倉庫(物品を貯蔵又は保管する場所)”を対象としている。
・同市場では、EC市場の拡大を背景に倉庫需要が高まっていることや、物流拠点の集約化や物流施設の自動化が進んでいることから、物流倉庫の大型化が起きている。

業界動向/事業者動向

・労働集約型産業である物流業界では、ドライバーの不足だけでなく、倉庫内作業者の不足も発生しており、人手不足が大きな課題となっていることから、倉庫開発事業者は、AIやIoT、ロボティクスなどを駆使した、倉庫マネジメントや倉庫内作業、荷物の搬送・輸配送の省力化や自動化に取り組んでいる。
・また、店舗での購入が一般的だった食品・飲料等のEC需要拡大に伴い、都心近くのラストワンマイル対応の倉庫需要が高まっているほか、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」を背景に、長距離輸送が一段と難しくなることから、中継地として物流拠点を整備する動きもある。

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