株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【マテリアル】23年3月

【業界アウトライン】
世界的にwithコロナのフェーズに入ったことで、これまで停滞していた最終製品メーカーサイドでの新製品開発やインフラ整備が今後加速すると見られ、それに伴い、高機能・高付加価値な部材・副資材の需要が見込まれる。

Foldable・Rollable端末カバー用透明PIフィルム市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2022年のFoldable・Rollable端末カバー用透明PIフィルム市場規模は、30万㎡(対前年比150.0%)と見込まれる。

・Foldableスマートフォンの販売台数は、年間2~3倍弱と大きく成長しているものの、PIカバーを採用しているのは15%前後と推計される。

・同市場では、サンプルワークは進んでいるものの、実需としての実績はまだ一部に限られている。

業界動向/事業者動向

・同市場での透明PIフィルムは、硬度・対擦傷性だけでなく、防汚性、耐指紋性など、ディスプレイカバーとしての品質を満たす表面コートが求められる。端末メーカーからの要求項目は多岐にわたることから、ニーズへの対応のためには原反メーカーとコンバーターとの連携が不可欠となっている。
・同市場では、Foldable端末カバーとしての透明性や耐屈曲性などの開発テーマが中心であったが、低誘電化に取り組み、ディスプレイカバーから5G対応の透明スモールセル(ボックスタイプの基地局アンテナ)へとシフトすることができれば、新たな通信用インフラ材料としての需要が期待できる。

MLCC(積層型セラミックコンデンサ)リリースフィルム市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2022年のMLCCリリースフィルム市場規模は、26億4,650万㎡(対前年比101.6%)と見込まれる。

・MLCCリリースフィルムとは、セラミックコンデンサの製造工程で使用される、PETフィルムにシリコーンコートを施し剥離性を付与したものになる。

・同市場では、主要MLCCメーカー各社が能力増強に向けた設備投資を進めており、新規ラインが順調に稼働すれば、リリースフィルムの使用量も増加が見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場は、5Gスマホでのミリ波対応機種の拡大、自動車のEV化や自動運転レベルの進展で製品1台当たりのMLCC搭載数量が増加していること、車載電装品向けMLCCは1個当たりのサイズが大きく、高容量でありリリースフィルムの使用量も大きいことなどから、市場規模は拡大基調にある。
・MLCCリリースフィルムは、誘電体シートの生産過程で使用される副資材であり、使用後に産業廃棄物として処理されるかサーマルリサイクルされるケースが一般的であったが、世界的な脱炭素と循環社会構築に向けた動きを受け、同市場でも使用済リリースフィルムのリサイクルへの取り組みが見られる。

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