株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【不動産】23年3月

【業界アウトライン】
国土交通省の「令和4年版土地白書」によると、令和3年度の不動産市場は、地価公示の全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じ、Jリート市場の時価総額が過去最高を記録するなど、回復の兆しが見えている。

ビル管理市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2022年度のビル管理市場規模は、4兆3,855億円(対前年度比101.0%)と見込まれる。

・ビル管理には、清掃、設備管理、警備の3大業務があるが、複数業務を包括的に行える事業者が市場での優位性を高めており、大手・有力事業者による寡占化傾向が今後も継続すると見られる。

・同市場は、コロナ禍で高まった衛生管理の需要や、オフィス環境への投資が続いていることから、今後も市場規模は微増で推移すると見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場では、環境対応やBCP対応を含め、修繕工事、改修工事、リニューアル工事等の需要は年々高まっており、ビル管理事業者においては、適正なコストでの新規案件取得のほか、既存顧客の更新契約時の交渉、契約見直しなど、収益性の向上に向けた動きも見られる。
・一方で、人手不足の状況は今後も継続すると予想されるため、高齢人材や外国人従事者の活用のほか、省人化や業務効率化に向けて、計器読み取り機能やセンサーの活用、清掃ロボットなど、人が手間を掛けなくても効率的に業務を遂行できるシステム・機器の導入提案に注力する動きが見られる。

収納ビジネス市場

※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2022年度の収納ビジネス市場規模は、793億5千万円(対前年度比108.0%)と見込まれる。

・同市場は、レンタル収納市場とコンテナ収納市場に分けられ、いずれにおいても堅調に成長を続けているが、成長率はやや鈍化傾向となっている。

・同市場は、大手事業者を中心に高稼働の状況を維持していることから、収納ニーズは底堅く、市場規模は拡大傾向で推移すると見られる。

業界動向/事業者動向

・同市場は、不動産価格の高止まりの影響を受け、仕入れの見通しが難しい状況にあるが、人口や世帯数が多く収納ニーズが底堅く顕在化していること、投資価格は変わらない中で賃料単価の高い都市部の方が事業収益性は高いことなどから、首都圏を中心に都市部での新規開発に集中する傾向が見られる。
・今後の市場拡大に向けて、事業者には、既存拠点の稼働率や収益性の向上のほか、利用者が求める面積タイプが充足すること、または面積の可変が可能な収納スペースの開発、同ブランド内の移動の自由度を上げるサブスク型のレンタル形式の導入など、利用者の利便性を高める取り組みが期待される。

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