株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【福祉】22年9月

【業界アウトライン】
令和3年度介護報酬改定では、栄養関連において、口腔、栄養専門職の関与の明確化、介護保険施設や通所介護等における口腔衛生の管理や栄養マネジメントの強化などが重視されている。

咀嚼困難者食市場

※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2021年度の咀嚼困難者食市場規模は、283億4,000万円(対前年度比105.1%)と見込まれる。

・咀嚼困難者食には、「やわらか食」、「ブレンダー食」、「形そのまま、ゼリー等」の3種類があり、「やわらか食」は健常者の食事メニューに近く、「ブレンダー食」は病院食に近いメニューになる。

・同市場は、高齢者という対象ユーザーの多さと、認知度の浸透により、今後も市場は拡大基調で推移すると見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場は、病院や介護施設を対象に、病院向け食材問屋などを通じて業務用として市場が開拓されてきたが、現在はスーパーやドラッグストアなど、一般市販向けにも市場が拡大しつつある。
・なかでも、「やわらか食」は、レトルト食品を中心に市販・通販ルートの拡大に注力しているほか、「ブレンダー食」はレトルト食品や冷凍食品を中心に、業務用ルートの拡大に注力する動きが見られる。
・そのほか、配送を担うデリバリー事業者や配食事業者の新規参入が多く見られることから、今後も市場規模は拡大すると見込まれる。

介護予防食市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2021年度の介護予防食市場規模は、253億5,000万円(対前年度比101.9%)と見込まれる。

・介護予防食は、高齢化に伴い顕在化・重度化する、低栄養、虚弱、運動器不全等の疾患を未然に予防又は進行を遅らせ、介護状態に陥らないようにすることを目的とした経口の食事・食品を指す。

・同市場は、高齢者の経口補食や栄養状態が重視されるなか、市場は微増で推移すると見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場は、嚥下・咀嚼に問題ないが、食が細くなり低栄養になりやすい健常高齢者に不足する栄養素を補う製品が多くあり、特に低栄養を予防・改善する手段として補食的に用いられることが多いことから、在宅介護向け製品ではあるものの、高齢者施設などの業務用分野でも導入が進む動きが見られる。
・また、これまでは、流動食やとろみ調整食品、栄養補給食品などの製造・販売を担う専門の事業者が多く見られたが、高齢化を背景に、一般市場での流通経路や販路、販売促進活動に優位性を持つ、一般食品の製造・販売を担う事業者が参入する動きも見受けられる。

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