株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【医療】22年9月
【業界アウトライン】
厚生労働省「令和2年医療施設調査」によると、2020年10月における全国の医療施設数は178,724施設(対前年692施設減少)、病床数は1,593,623床(対前年26,464床減少)であった。
厚生労働省「令和2年医療施設調査」によると、2020年10月における全国の医療施設数は178,724施設(対前年692施設減少)、病床数は1,593,623床(対前年26,464床減少)であった。
糖尿病治療薬市場
※出典 矢野経済研究所
市場環境
・2021年度の糖尿病治療薬市場規模は、6,172億円(対前年度比103.4%)と見込まれる。
・糖尿病は、貧困との関連性が指摘されており、今後、所得格差の拡大などを背景とする相対的貧困層の増大から、糖尿病患者や予備軍が増加すると見込まれる。その一方で、薬価の引き下げやジェネリック医薬品、バイオシミラーの使用促進を背景に、市場規模は横ばいから微増で推移すると見込まれる。
業界動向/事業者動向
・同市場では、血糖降下薬のうち、血糖低下を担う消化ホルモン作用を促進させるDPP-4阻害薬が4割超を占めているものの、インスリンの分泌促進作用のあるGLP-1受容体作動薬や尿細管からのグルコース再吸収を阻害するSGLT2阻害薬も市場規模が拡大する傾向にある。
・インスリン製剤では、血糖コントロールの容易性の向上やユーザーの負荷が少ない注射デバイスなど、付加価値の高い製剤やデバイスの開発が進められる一方で、インスリン療法への移行遅延や低価格のバイオシミラーの拡大により、市場規模は縮小する傾向にあると見込まれる。
放射線治療市場
市場環境
・2021年度(予)の放射線治療市場規模は、2,942億6,000万円(対前年度比103.1%)と見込まれる。
・同市場は、がん患者増加を背景に、緩和的放射線治療の普及や、放射線治療の均てん化、都道府県を超えた連携体制などから、今後も市場規模は拡大すると見込まれる。
・また、放射線治療装置においては、新型コロナウイルス感染症の影響で更新が滞っていることから、今後更新需要が期待できるとみられる。
業界動向/事業者動向
・同市場では、高精度放射線治療が主流となっており、放射線治療機器においては、腫瘍周辺の正常組織を弱めて腫瘍部に高線量を照射する方法や、照射直前や照射中に得られる患者の画像情報を基に放射線治療時の位置補正を行いながら照射する治療方法などが開発されている。
・そのほか、近年の放射線治療においては、がん細胞が死滅する温度まで患部周辺を電磁波で加熱する温熱療法や、放射線抵抗性が高い腫瘍細胞の感受性を高める放射線増感剤などとの併用治療が注目されており、各種併用治療の確立と普及が進むことで、市場規模は拡大すると見込まれる。
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