株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【建設】22年9月

【業界アウトライン】
国土交通省「建築着工統計」(2021年度計)によると、全建築物の着工床面積は12,247万㎡(対前年度比107.1%)、居住用は7,366万㎡(対前年度比107.3%)、非居住用は4,374万㎡(対前年度比109.3%)でいずれも増加した。

建材畳市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2021年度の建材畳市場の市場規模は、420億円(対前年度比95.5%)と見込まれる。

・畳床のうち、ポリスチレンフォームなどを原料とする脱ワラ畳は、市場の86%以上(2020年度時点)を占めており、和室が減少するなかでもワラ畳床からの代替品として需要を拡大してきた。しかしながら、最近は新築着工数の減少や代替需要も落ち着いたことから、市場規模も縮小基調にある。

業界動向/事業者動向

・同市場では、ダニの問題や軽量化の需要から、従来のワラ畳から脱ワラ畳へ需要が移行しているほか、旅館や飲食店などの業務用分野でも、東北地方や九州地方などを除けば、ワラ畳へのこだわりが低下していることから、今後も脱ワラ畳化が進むと見込まれる。
・今後も、後継者不在などの理由から畳店の減少傾向が続くと見込まれるが、その一方で、畳の量産化によるコストダウンや、高級品に特化した畳を提供するなど、事業者の中には新たなビジネスモデルを確立して他社との差別化を図る動きが見られる。

塗り床材市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2021年度の塗り床材市場の市場規模は、410億円(対前年度比100.0%)と見込まれる。
・塗り床材は、主に工場などの生産設備関連の建築物や医療施設などで使用されている。
・同市場は、コロナ禍で個人向けやDIY商材の需要が一時的に増加したものの、修繕サイクルの長期化や原材料の高騰の影響から、塗り床工事向け商材の需要は微減で推移した。

業界動向/事業者動向

・同市場では、EC需要の増加から、物流倉庫で無人搬送車などが効率よく稼働できる高い安定性や平滑性・耐久性を持つ床材や、コロナ禍以後の新たな生活様式の中で使用が増加した消毒用アルコール類が床面に触れても変質しない床材の需要が拡大するなど、塗り床材に求められる役割が高まりつつある。
・そのほか、事業者の中には、環境に対する取り組みとして原料の溶剤系から水性系へのシフトや、有害物質を使わない塗料の開発のほか、石油由来製品の原料を含めた塗り床材製造プロセスにおけるCO2抑制・削減に取り組む動きも見受けられる。

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