株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【医療関連ビジネス】22年6月

【業界アウトライン】
厚生労働省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」では、画像診断や診療支援など重点6領域が選定されており、今後、医療におけるAI開発・実用化に向けた動きが加速することが見込まれる。

診断支援AIシステム市場(対象はソフトウェアのみ)


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2021年度の診断支援AIシステム市場の市場規模は、18億円(対前年度比225.0%)と見込まれる。

・同市場は、特に医用画像を用いた画像診断の分野でのAI利用が活発である。そのなかでも、CTやMRIなどの放射線画像や、消化器内視鏡を中心に開発が進められている。

・現在、中・大規模病院、クリニック、健診施設などで、診断支援AIシステムの導入が進みつつある。

業界動向/事業者動向

・日本で承認されている診断支援AIの機能は、病変部位の検出による見逃し率の低減や業務効率の改善が中心である。現状は、AIの画像認識技術による分類や処理の速さに特徴を持つ製品が中心であるものの、今後は、手術時のサポートを担える課題解決型AI利用が進むとみられる。
・現状、AIに対する認知・理解やニーズが高まりつつあるほか、次回の診療報酬が改定される2024年度は医師の働き方改革が施行されるため、働き方改革に合わせた新たな診断支援AIが上市されると見込まれる。このことから、今後も市場規模は拡大すると見込まれる。

診療支援AIシステム市場(対象はソフトウェアのみ)


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2021年度の診療支援AIシステム市場の市場規模は、8億円(対前年度比133.3%)と見込まれる。
・同市場は、問診・診察支援領域を中心に市場が形成されつつあり、医療業界の働き方改革推進や医療従事者の人材不足を背景に、AIを利用した業務支援システムの早期社会実装が期待されている。
・また、本システムを利用することで、医療現場の業務負担の軽減だけではなく、医療の質の向上や治療の適正化なども期待されている。

業界動向/事業者動向

・同市場では、患者の状態予測および臨床意思決定に関する技術として、検診データを解析することで将来の疾患リスクを予測するAIソリューションや、心電図データから不整脈や心不全などの疾患リスクを予測するAIソリューションなどの研究開発が進められている。
・その一方で、電子カルテのベンダーごとに出力フォーマットが異なることから、非構造化データの標準化やアノテーションが付与されていないなどの技術的課題が見られるほか、AIの利用に際した法規制やガイドラインなどが定められていないことから、社会実装には時間が必要になると見込まれる。

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