株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【受託製造】22年3月

【業界アウトライン】
受託製造は医薬品、健康食品、化粧品などの分野で行われている。コロナ禍において事業者間の受注競争が厳しくなりつつあることから、今後は、総合受託系と特定技術に特化した専業系の二極化や、企業の淘汰が進むと見込まれる。

医薬品受託製造市場


※出典  ①と将来予想:矢野経済研究所

     ②:厚生労働省 令和2年度医療費の動向


市場環境

・2020年度の医薬品受託製造市場規模は3,980億円(対前年度比104.2%)と見込まれる。
・同市場は、既存長期収載品の生産量減少が見込まれるものの、新たに特許切れとなる長期収載品や、ジェネリック市場の伸長などにより、今後も市場規模は拡大すると見込まれる。
・2021年度の市場規模は4,120億円(対前年度比103.5%)と見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場では、大手事業者からの製造委託がさらに拡大すると見込まれるほか、ジェネリック市場規模の拡大に伴う共同開発案件の増加や、事業者の設備増強や品質レベルの向上に基づく信頼性の向上などを背景に、受託案件件数の増加と案件規模の大型化が進むと見込まれる。
・一方で、新規参入事業者の増加などの影響から、受注競争は厳しくなりつつある。事業者の中には、既存の医薬品製造受託のほかに、委託事業者とともに新規治療薬などの開発に取り組むことで、製品の付加価値の向上を図るとともに、製剤開発から受託製造までの一貫受注の拡大を図る動きもみられる。

健康食品受託製造市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2020年度の健康食品受託製造市場は、1,566億円(対前年度比100.8%)と見込まれる。
・同市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による外出自粛や在宅勤務の拡大に伴い、都市部店舗の売上が伸び悩むなか、通信販売は好調に推移した。
・また、中国や東南アジアを中心とした海外からの受託製造件数も増加する傾向にある。

業界動向/事業者動向

・同市場は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、免疫関連商材としてビタミン関連商品や乳酸菌関連商品のほか、外出自粛などによるコロナ太り対策が注目される中で、ダイエット関連や中性脂肪対策などの機能性表示食品の受託製造が好調に推移したと見受けられる。
・そのほか、国内の健康食品市場の成長が鈍化する中、事業者の中には、海外需要の拡大を背景に食品安全マネジメントシステムの国際規格であるFSSC22000や、アメリカの政府機関であるFDA(アメリカ食品医薬局)が定める品質管理基準のcGMP認証を取得する動きもみられる。


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