Netpress 第2500号 重要ポイントは? 令和8年度税制改正大綱 その概要をチェックする

Point
1.所得税の基礎控除と給与所得控除の最低額保障額の引き上げ、基礎控除の特例の引き上げが行われ、 給与所得控除の最低保証額の特例が創設されます。
2.中小企業等の少額減価償却資産の損金算入の特例の改正と賃上げ促進税制の見直しが行われます。
3.インボイス登録事業者以外の者からの課税仕入れの経過措置が見直されます。


しんわ税理士法人
代表社員・税理士
須山 雅之

1.所得税に関する改正について

(1) 基礎控除の引き上げ

 物価上昇局面の対応策として、令和8年分以降の個人の所得税の基礎控除額が4万円引き上げられ、62万円になります。合計所得金額2,350万円以下の個人が対象です。


(2) 給与所得控除の最低額の引き上げ

 同様の観点から、給与所得控除の最低保障額が令和8年分以降、69万円に引き上げられます。


(3) 基礎控除の特例の引き上げと給与所得控除の特例の創設

 消費者物価指数上昇率に対応した対策として、令和8年と令和9年について基礎控除の特例が一定額増額され、また給与所得控除の最低保証額の特例(5万円の増額)が創設されます。


 これにより178万円の壁(給与収入178万円までは所得税が非課税)が実現されます。


 上記改正により、令和8年と令和9年の基礎控除は以下のようになります。


給与収入の目安合計所得金額基礎控除(特例を含む)
~ 665万円~ 489万円104万円
~ 850万円~ 655万円67万円
~2,545万円~2,350万円62万円
~2,595万円~2,400万円48万円
~2,645万円~2,450万円32万円
~2,695万円~2,500万円16万円
2,695万円超2,500万円超0円


(4) 扶養控除等の所得の見直し

 基礎控除の引き上げに伴い、配偶者控除、扶養控除等の合計所得金額要件は、令和8年分以降62万円以下に引き上げられます。また、上記(1)から(3)の改正により、令和8年と令和9年において、給与収入のみの人は136万円以下で扶養親族等に該当します。


(5) 住宅ローン減税の延長と見直し

 住宅ローン減税の適用期限を令和12年12月31日まで5年間延長し、昨年と同程度の借入金限度額が継続されます。また、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅についても適用が拡大されました(合計所得金額が1,000万円を超える年を除きます)。


(6) NISAの拡充

 令和9年以降、18歳未満についても積立投資枠のNISAの適用が可能になります(年間60万円、総額600万円が限度です)。

2.法人税に関する改正について

(1) 少額減価償却資産の特例の増額

 中小企業者等(資本金1億円以下の法人等)の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、令和8年4月1日以降に取得する対象資産の取得価額が40万円未満(現行30万円未満)に引き上げられます。


(2) 賃上げ促進税制の見直し

 ①大企業(資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の法人、または従業員2,000人超の法人等)

  令和8年3月31日までに開始する事業年度で廃止されます。


 ②中堅企業(資本金1億円超、従業員2,000人以下の法人等)

  継続雇用者給与等支給額の増加割合を4%以上(現行3%以上)に引き上げ、また一定の縮小をしたうえ、令和9年3月31日までに開始する事業年度で廃止されます。


 ③中小企業(資本金1億円以下の法人等)

  教育訓練費の上乗せ措置を廃止したうえ、賃上げ促進税制が継続されます。


(3) 特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告法人が経済産業大臣の確認を受けること等、一定の生産等設備(合計35億円以上、中小企業者等は合計5億円以上)を取得した場合には、特別償却(即時償却)または税額控除を選択適用できる制度が創設されました。

3.その他の改正について

(1) 適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)以外の者から行った課税仕入れの経過措置の見直し

 インボイス登録事業者以外の者から行った課税仕入れについて、経過措置が2年間延長されます。また、一部見直しにより、下記のように課税仕入れの期間に応じた控除可能割合が適用されます。


課税仕入れの期間控除可能割合
~令和8.9.3080%
令和8.10.1~令和10.9.3070%
令和10.10.1~令和12.9.3050%
令和12.10.1~令和13.9.3030%
令和13.10.1~0%


 この改正により、会計ソフトの更新、整備等が必要になると想定されます。


(2) 食事補助の経済的利益に関する非課税金額の見直し

 法人等から従業員等に支給される食事について、給与課税されない要件が以下のように見直されます。


 ①本人が食事の価額の半分以上負担すること


 ②法人等の負担額が1か月当たり7,500円(税抜)以下であること(現行3,500円以下)



◎協力/日本実業出版社
日本実業出版社のウェブサイトはこちら 
https://www.njg.co.jp/



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