株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【運輸・倉庫】22年3月

【業界アウトライン】
国土交通省では「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」を策定し、物流DXや物流標準化の推進による物流の最適化、労働力不足対策と物流構造改革の推進、強靭で持続可能な物流ネットワークの構築を推進するとしている。

段ボール市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2020年の段ボール市場規模は、生産量ベースで141億㎡(対前年比99.1%)と見込まれる。

・段ボールの需要は、経済の動きと密接に係わっていることから、不要不急の外出自粛による経済活動の停滞は段ボール需要にも大きな影響を及ぼした。

・2021年は、一部回復が遅れている分野があるものの、総じて物流量が回復基調で推移していることから、市場規模は前年を上回るものと見込まれる。

業界動向/事業者動向

・2020年は、最大の需要分野である加工食品(飲料含む)向けでは、自動販売機向けやコンビニエンスストア向けの需要が激減、青果物向けも業務用の減少に加えて、局地的集中豪雨の影響も大きかった。
・一方で、ネット通販市場規模の拡大から、通販分野において急速に段ボール需要が高まっている。大手ネットモール型事業者においては、主に関東圏の需要獲得を目的に物流体制を急速に強化する動きがみられ、今後も段ボール需要を牽引すると見込まれる。

低温物流市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2021年度の低温物流市場は、1兆7,600億円(対前年度比100.6%)と見込まれる。

・同市場は、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などによって業務用冷凍食品などの需要の減少から、市場規模も縮小した。

・今後は、食品通販の利用率上昇や低温物流事業者の業務領域拡大のほか、物流費の増加の影響から、市場規模は微増で推移すると見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場では、食品がメイン商材となるが、近年では食品配送を専門とする事業者が医薬品や化学品などの非食品分野へ参入する動きもみられる。特に医薬品は、人口が減少フェーズにある日本において、伸長している分野でもあり、今後も非食品分野へ事業範囲を拡大する事業者は増加すると見込まれる。
・また、労働力不足対策が本格化している。ドライバー不足への対応として、中継輸送やモーダルシフトなどの輸送手段を導入する事業者がみられる。倉庫荷役では物流ロボットなどの導入が進んでおり、今後も労働力不足を背景に自動化・省人化は加速すると見込まれる。

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