株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【高齢者及び高齢者施設向けサービス】22年3月

【業界アウトライン】
総務省の国勢調査によると、2020年の高齢者数(65歳以上)は3,603万人、高齢化率は28.6%であった。近年、独居高齢者の孤独死や認知症の問題がクローズアップされ、見守りサービスの重要性が再認識され注目を集めている。

個人向け見守りサービス市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2021年度の個人向け見守りサービス市場規模は、44億1,300万円(対前年度比121.6%)と見込まれる。

・現在、コロナ禍で高齢者家族宅の訪問を行いづらい状況から、見守りの要望が以前よりも高まりつつあり、今後も市場規模は拡大すると見込まれる。

・2022年度の市場規模は、52億600万円(対前年度比118.0%)と見込まれる。

業界動向/事業者動向

・個人向け見守りサービスは、IoT機器・センサーなどを通じて対象者の日常生活や体調を見守り、異常時は事前に登録した連絡先への連絡やセキュリティサービスによる駆けつけサービスである。
・同市場は、高齢者宅に各種センサーを設置する「センサー・機器設置型」と水道や電気などのインフラに通信機能を搭載した「インフラ・家電型」があるが、導入数は「センサー・機器設置型」が多い。
・なお、本サービスは、夜間の見守り関連業務の人件費削減につながることが期待されることから、事業者の中には、有料老人ホームやシニア向け分譲マンションなどへの展開を強化する動きがみられる。

施設向け見守りサービス市場


※出典  ①と将来予想:矢野経済研究所
     ②:厚生労働省 令和元年、令和2年介護サービス施設・事業所調査

市場環境

・2021年度の施設向け見守りサービス市場規模は、75億2,400万円(対前年度比124.1%)と見込まれる。
・介護人材不足を背景に、介護報酬改定における見守りサービスなどの導入による夜間の人材配置の緩和や、補助金の導入に伴い、市場規模も拡大しており、今後も導入事業者は増加すると見込まれる。
・2022年度の市場規模は、84億2,700万円(対前年度比112.0%)と見込まれる。

業界動向/事業者動向

同市場は、高齢者施設で入居者の心拍や睡眠のデータ収集を行い、日常的な様子の把握、転倒・転落、徘徊などを早期発見し、介護事業者の負担軽減や昼夜の効率的業務支援を目的に導入されている。種類としては、センサー型やバイタル型、画像・シルエット型、などが展開されている。
・今後は、収集した情報を基に、予防への取り組みに応じた改善に基づくアウトカム評価が重視されるとみられ、事業者にはIoT機器の活用による業務効率化や負担軽減化だけではなく、収集したデータに基づいた重度化予防や予兆管理など、効率化+αの機能を持つシステムの提供が求められる。

プロフィール

InfoLounge編集部

SMBCビジネスクラブ「InfoLounge(インフォラウンジ)」は、企業経営や人材育成、法務、労務などの領域で、実務に今すぐ役立つ情報をお届けするコミュニティサイトです。著名人へのインタビュー記事や注目企業への取材レポートのほか、実務支援コンテンツ、動画、セミナー・お役立ち資料など、盛りだくさんの内容で様々な情報をお届けします。

受付中のセミナー・資料ダウンロード・アンケート