多田智子の働き方改革関連コラム 2024年4月改正 労働条件明示ルール変更の具体的な対応をはじめましょう

多田国際社会保険労務士法人は、忙しいビジネスパーソンが知りたい【労務管理に関する旬な情報】を厳選してお送りします。
今回は、労働条件明示のルール変更についてお知らせします。


令和6年(2024年)4月1日施行の法改正により、労働条件の明示事項が変更となることは2023年5月12日付けの本コラム既報の通りですが、施行日まで3カ月を切ったこのタイミングでは、以下の例を参考に、今後自社で使用されている労働条件通知書等のフォーマットを見直すなど対応をはじめましょう。


〇【例1】4月1日付で雇用する労働者で、入社後配転・転勤が想定される者

人事権の行使として、入社後に配置転換や転勤・出向などを命じることが想定される正社員(例:新卒入社者)等にも改正ルールは適用されます。これまでは雇入れ直後の就業場所や従事すべき業務を明示すれば足りたところ、今後は入社後に想定される「変更の範囲」を明示しなければなりません。


就業場所や業務の範囲が限定されない労働者に対しては、将来配転・出向等を命じた場合の就業場所や業務を記載する必要がありますが、網羅的に記載するのは現実的に難しい場合もある為、以下の記入例を参考に、できる限り明確にしてください。また、テレワークを行うことが想定されている場合には「就業場所の変更の範囲」として通常テレワークを行う場所を記載することも必要です。


なお、今回の改正ルールは令和6年4月1日以降に締結される労働契約について適用される為、契約の始期が令和6年4月1日以降であっても契約締結を3月以前に行う場合には新ルールに基づく明示は不要とされていますが、特に期間の定めのない契約を締結する労働者の場合は、入社後のトラブルを回避するためにもこの機会に新ルールに従い対応しておくことが望ましいでしょう。


▼記入例▼


※出典 厚生労働省 「2024年4月からの労働条件明示のルール変更備えは大丈夫ですか?」リーフレット


〇【例2】4月1日以降に有期労働契約を締結または更新する労働者

パートやアルバイト、契約社員をはじめ、定年後に再雇用制度で継続雇用される労働者など名称にかかわらず、4月1日以降に労働者と新たな有期労働契約を締結する場合、ならびに既に雇用されている有期労働契約者との契約を更新する場合には改正後の新しい明示ルールが適用となります。今後は、「締結」および「更新」の都度、前述【例1】に記載した就業場所および従事すべき業務の変更範囲に加えて、対象者に適用となる契約について「通算契約期間」または「更新回数」の上限がある場合にはそれを明示しなければなりません。


なお、当初の契約では更新上限の定めがなかった労働者に対し契約途中で更新上限を定めることになった場合、あるいは更新上限を短縮する場合には、予めその理由を労働者本人に原則書面で説明することが望ましいです。


▼記入例▼


※出典 厚生労働省 「2024年4月からの労働条件明示のルール変更備えは大丈夫ですか?」リーフレット


〇【例3】 4月1日以降に無期転換申込権が発生する有期契約を締結・更新する労働者

「無期転換申込権」が発生する契約更新の都度、無期転換を申し込むことができる権利があること、また、無期転換後に適用される労働条件の内容を労働者本人に書面で明示しなければなりません。但し、無期転換後の労働条件の明示については「変更の有無、および変更がある場合はその内容」を明示する方法で差し支えない、とされています。


なお、これまでに無期転換申込権を行使しないことを表明している労働者であっても、今後は契約更新の都度、無期転換申込機会および無期転換後の労働条件の明示を行う必要がある点にご留意ください。


その他詳細について以下のリンク先をご参照ください。


※関連リンク

○厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更備えは大丈夫ですか?」


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プロフィール

多田国際コンサルティンググループ 代表社会保険労務士 多田智子

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