Netpress 第2286号 酒気帯びの有無の確認・記録の保存 アルコールチェックの義務化にどう対応するか
1.安全運転管理者を有する白ナンバーの事業者もアルコールチェックが義務化されました。
2.ここでは、アルコールチェックの義務化の概要と具体的な対応方法を紹介します。
住友三井オートサービス株式会社
セールスDX推進部 川﨑 毅
1.アルコールチェックの義務化について
従来、有償で他社商品や人を運ぶ緑ナンバーの車両を有する事業者においては、自社の「安全運転管理者」に対してアルコールチェックが義務化されていました。
2022年4月より改正道路交通法施行規則が順次施行され、安全運転管理者を有する白ナンバーの事業者もアルコールチェックが義務化されました。
(1)義務化の対象
乗車定員が11人以上の自動車1台以上または白ナンバーの自動車5台以上を使用している企業では、事業所ごとに、安全運転管理者の選任が道路交通法上で定められています。
(2)対応事項
2022年4月1日からは、以下の2点が義務化されています。
1. | 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること |
2. | 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること |
また、2022年10月1日から「アルコール検知器の使用等」が追加される予定でしたが、アルコール検知器の供給状況を踏まえ、当分の間、延期されました。
現時点では延期期間が未定であるものの、早く運用体制を構築できるよう、常にアンテナを張っておく必要があることは変わりません。延期解除の前に運用を開始できていることが最良です。
(3)記録が必要な8項目
酒気帯びの確認を行った場合、以下の8項目の記録が必要となります。この記録について、指定の書式等は定められていません。
① 確認者名
② 運転者名
③ 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号等
④ 確認の日時
⑤ 確認の方法
(ア) アルコール検知器の使用の有無
(イ) 対面でない場合は具体的方法
⑥ 酒気帯びの有無
⑦ 指示事項
⑧ その他必要な事項
⑤(ア)以外の事項の記録は2022年4月1日から、⑤(ア)の事項の記録は同年10月1日からそれぞれ行うことが定められています。
2.アルコール検知器のタイプと特徴
アルコールチェッカーには、呼気中のアルコールに反応し、体内のアルコール濃度を測定する「センサー」が内蔵されています。
このセンサーには、大きく「半導体式ガスセンサー」と「電気化学式センサー」の2種類があり、それぞれアルコール濃度を感知する原理が異なります。
(1)半導体式ガスセンサー
半導体式ガスセンサーは、センサー内に組み込まれている金属酸化物半導体に、呼気中に含まれている酸素が接触した時に生じる抵抗値の変化によって、ガス濃度を測定するセンサーです。
センサーが小型で、アルコール濃度を測定する原理も、微量の電気を流して変動値を測定するだけと至って単純なため、測定時間が短く端末も安いのが利点です。
ただし、アルコール以外の物質にも反応する可能性があるのがデメリットです。
(2)電気化学式センサー
電気化学式センサーは、燃料電池式と呼ばれることもあります。呼気中に含まれているアルコールガスを文字通り燃料として電気を発生させ、その値を測定することでアルコールの有無を判断しています。
燃料であるアルコールガスがないとまったく反応しないため、アルコール以外のガスに反応しにくく、周囲の状況にあまり影響されないのがメリットです。
ただ、検知原理がやや複雑なため、半導体式ガスセンサーよりセンサーの反応時間が遅く、測定結果が出るまでやや時間がかかってしまうことと、販売価格が若干ながら高価でメンテンナンスにもコストを要することがデメリットです。
アルコール検知器による測定義務は当分の間、延期となっているものの、記録は2022年4月から実施しなければならず、アルコールチェック義務化対応の重要なポイントです。
アルコールチェックは、飲酒運転を防ぐために毎日欠かさず実施すべきものですので、その日・その時に飲酒していないことを確認できるのはもちろん、日常の検査結果を漏れなく確実に記録・保存し、徹底的に習慣付けることが大切です。
アルコールチェックの記録を漏れなく確実に実施する方法について詳しくご説明しておりますので、ぜひこちらの動画をご覧ください。
https://mobilitas.jp/webinar/20230327seminar/?lfcpid=24261
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