Netpress 第2275号 経営戦略シリーズ① 企業経営者とは? 経営戦略とは?(マネジメントのやるべきこと)
1.これからの企業経営者には、「外部のノウハウ」を取り入れる柔軟性と多様な情報を結合させる広い視野をもったマネジメントが求められます。
2.この連載では、計6回のシリーズで、経営戦略実行のための戦術等について説明していきます。
ABDアソシエ株式会社
代表取締役 栗原 浩夫
私がコンサルタントとして特に中堅・中小企業のマネジメントの方々とお話をしている中で、「そもそも的」な問いかけを受けるケースが意外にも多いと実感しています。
たとえば、「経営者って何をするの?」とか、「経営戦略って何?」とか、「どうせ未来を見通すことなんてできないのに経営戦略や事業計画って必要なの?」等々です。
では、「経営者」「経営戦略」とは、そもそもどのように捉えればよいのでしょうか。
難しい言い方になりますが、「経営者」とは、「資本家から委任を受け、企業の経営戦略を立案し、経営資源を活用して戦略を実現することで企業活動の持続性を確保する責任を負う立場」です。
「経営戦略」とは、「企業が持続的に市場の中で競争優位性を確保するために、会社の有する人、モノ、資金、情報といった経営資源を最適に投下して施策を実行していくこと」となります。
「企業経営者」が「経営戦略」の重要性や必要性を理解して実践していくことは、経営環境やテクノロジーが劇的に変化して不確実性が高まる時代に、企業が持続し、さらに成長していくうえで大変に有効であると思います。
この連載では、「経営戦略」のそもそもの目的や戦略策定のためのフレームワークを活用した策定手順、経営戦略実行のための戦術など、計6回のシリーズで「企業経営者が理解しておくべき事項」をコンパクトに説明していきます。
【経営戦略シリーズ(計6回)テーマ一覧】 |
第1回 : 企業経営者とは? 経営戦略とは?(マネジメントのやるべきこと) |
第2回 : 経営戦略の策定手順①(情報収集フレームワークの活用)<7月予定> |
第3回 : 経営戦略の策定手順②(情報整理フレームワークの活用)<9月予定> |
第4回 : 経営戦略の策定手順③(戦略理論)<11月予定> |
第5回 : 経営戦略の経営計画(KPI)策定と組織設計<来年1月予定> |
第6回 : 企業戦略の実行手順(ノンオーガニック戦略とインオーガニック戦略) <来年3月予定> |
第1回は、「企業経営者とは? 経営戦略とは?(マネジメントのやるべきこと)」についてです。
1.「企業経営者」とは?
「企業経営者」とは、「資本家から委任を受け、企業の経営戦略を立案し、経営資源を活用して戦略を実現することで企業活動の持続性を確保する責任を負う立場」と申し上げましたが、いわゆる軍師であり、代表取締役は意思決定者ということになります。
日本企業(特に中堅・中小企業)の経営者は、永年勤続を前提とした昇格のプロセスとして役員となっているケースがあり、また、産業構造的に下請けが多く発注元の方針に委ねる形で自ら主体的に将来を検討する機会が少ないことから、経営者が本来の役割や責任を十分に理解していないという実情もあり、「経営者って何をするの?」といった根本的な問いになっていると思います。
会社により、経営者はオーナー1人であったり、取締役会メンバーであったり、執行役員を含めた役員であったりと、決まり事に違いはあります。
しかし、いずれにしても役員(企業経営者)である以上は、会社法や会計規則、税法等で求められる責任はもとより、市場での競争や事業の持続性に対する責任を負う立場にあります。社会、従業員、取引先への責務を遂行するためには、経営戦略立案のための「知識」として総合的な情報収集・分析、戦略立案のための論理的思考、ならびに「覚悟」として経営戦略遂行力が求められるということになります。
また、近年は、IT化、デジタル化、国際化等によって、想定以上のスピードで従来のビジネスモデルの変化が起こっています。
過去の実体験や身内情報だけでは市場を捉えにくいのが現実であり、これからの企業経営者には多様な人的ネットワークとの連携、企業外専門家の異見登用、顧客アンケート・クレーム情報等の収集・活用など、「外部のノウハウ」を取り入れる柔軟性と情報を結合させる広い視野をもったマネジメントが求められるでしょう。
2.「経営戦略」とは?
「戦略=Strategy」は、もともと軍隊で用いられてきた用語をビジネスに活用したものです。
歴史的にみても、日本の戦国時代、三国志の時代、世界大戦期等、いつの時代も人間は相手に勝るために有利な状況を作り出す知恵を絞ってきました。
有能な軍師は、自軍や戦う相手に関する人材、武器、戦術等の客観的分析を行い、加えて地理、気象等の要因を含めて自陣が有利になる状況を見出し、時には目的のための連合を組んで戦を戦っています。
これは現在のスポーツマネジメントにも通じます。現代スポーツは、選手の個々の潜在能力やトレーニングに頼るだけでなく、高度な情報合戦(相手の特徴を最小化するアナリストによる戦術分析など)やトレードによるチーム編成を行っています。戦争は人の命に関わっていますし、スポーツも勝敗によって関わっている人生を左右するほどなので、関係する人たちはそれこそ命懸けです。
企業経営も同様です。製品やサービスを通じて社会に貢献し、雇用機会を創出するという目的を達成するためには、持続的な企業活動が前提となり、競争社会の中で生き残っていかなくてはなりません。
「経営戦略」とは、「企業が持続的に市場の中で競争優位性を確保するために、会社の有する人、モノ、資金、情報といった経営資源を最適に投下して施策を実行していくこと」と申し上げましたが、すなわち「市場での戦い方を立てること」となります。
そのためには、企業の実態把握や外部競争環境(競合相手や国際情勢、マクロ環境等)の情報分析が有効であり、これらの情報を論理的に組み立て、企業の向かうべき方向性について仮説を立てることが重要であることは言うまでもありません。
次回(第2回/7月を予定)は、経営戦略立案の基礎となる情報収集フレームワークの活用について説明します。
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