Netpress 第2209号 10月1日施行 「産後パパ育休」の創設など育児介護休業法の改正ポイント

Point
1.改正育児介護休業法が施行され、従来の育児休業制度とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能な出生時育児休業(産後パパ育休)が創設されます。
2.従来の1歳までの育児休業についても、2回まで分割して取得することができるようになります。


社会保険労務士法人
トムズコンサルタント
中山 祐介


男性の育児休業取得促進や職場全体の雇用環境の整備を目的として、2022年4月以降、改正育児介護休業法が3段階で施行されています。本稿では、今回の改正の中核ともいえる2022年10月1日施行の改正ポイントを解説します(下記の図表は、厚労省の資料 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000909605.pdf を元に作成)。

1.出生時育児休業(産後パパ育休)の創設

男性の育児休業取得促進のため、休業取得ニーズが高い子の出生直後の時期に、“育児休業制度とは別の制度”として、柔軟で取得しやすい出生時育児休業(産後パパ育休)が創設されます。制度の概要は次のとおりです。



休業の定義
産後休業をしていない労働者が、原則として出生後8週間以内の子を養育するための休業
「子」の範囲は、労働者と法律上の親子関係がある子(養子を含む)のほか、特別養子縁組のための試験的な養育期間にある子や、養子縁組里親に委託されている子等を含む(通常の育児休業と同じ)
対象労働者

産後休業をしていない労働者(日々雇用者を除く)
→ つまり主に男性が対象だが、養子等の場合は女性も対象

有期雇用労働者は、申出時点で子の出生日または出産予定日のいずれか遅いほうから起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限る

労使協定の締結により対象外とすることができる労働者
①入社1年未満の労働者
②申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
③1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
対象期間・取得可能日数
子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで(出生後8週間を超える休業や取得期間4週間[28日]を超える休業はできない)

原則として出生日から8週間後までの間だが、出産予定日前に子が生まれた場合は、出生日から出産予定日の8週間後まで、出産予定日後に子が生まれた場合は、出産予定日から出生日の8週間後まで
回数
分割して2回まで(3回以上の取得はできない)

育児休業と異なり、特別な事情による3回目の取得の定めはない

分割する場合は、初めにまとめて申し出る。初めにまとめて申し出ない場合、事業主は後から行われた申出を拒むことができる
休業中の就業
労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能
就業日数等には上限があり、休業期間中の所定労働日の半分・所定労働時間の半分まで。休業開始予定日、終了予定日を就業日とする場合は、当該日の所定労働時間数未満
申出期限

原則として休業開始の2週間前まで(ただし、雇用環境の整備などについて、法を上回る取り組みを労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることができる)

出産予定日前に子が出生した等の場合は、1週間前まで
繰上げ・繰下げ変更/申出撤回

出産予定日前に子が出生した等の場合は、休業1回につき1回に限り休業開始予定日の繰上げ変更が可能。申出期限は、変更後の休業開始予定日の1週間前まで

休業終了予定日の繰下げ変更は、事由を問わず休業1回につき1回に限り可能。申出期限は、当初の終了予定日の2週間前まで

休業開始予定日の前日までに申し出れば撤回することが可能。撤回した場合は、撤回1回につき1回休業したものとみなす。2回撤回した場合等、みなしを含めて2回休業後に再度申し出ることはできない


2.育児休業の分割取得等の改正

1歳までの育児休業は、分割して2回の取得が可能になります(「産後パパ育休」とは別に取得できます)。


保育所に入所できない等による1歳以降の育児休業は、期間の途中で配偶者と交代して育児休業を開始できるようになります(下図を参照)。






また、特別な事情がある場合には、1歳以降の育児休業の再取得が可能となります。


「特別な事情」とは、他の子の産前・産後休業、出生時育児休業(産後パパ育休)、介護休業または新たな育児休業の開始により育児休業が終了した場合で、休業等の対象だった子等が死亡等したときです。





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