【連載】日本再興の鍵はSXにあり VUCAサバイバル時代到来。企業存亡の鍵を握る「SX」とは
VUCA時代は歴史学者の"克服宣言"をも覆す
2018年に刊行されたイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』(河出書房新社)では、「人類は戦争、飢饉、疫病を克服できる時代に来た」、そう高らかに宣言されていました。
「飢饉と疫病と戦争はおそらく、この先何十年も厖大な数の犠牲者を出し続けることだろう。とはいえ、それらはもはや、無力な人類の理解と制御の及ばない不可避の悲劇ではない。すでに、対処可能な課題になった」と続きます。この克服宣言は多くの読者から喝采を浴び、世界的なベストセラーとなりました。
それから4年足らず。私たち人類は…
それから4年足らずして、人類は疫病も、戦争も何も克服できていないことを痛感しています。ウクライナから日々届けられるニュースは、市民の営みが戦争により徹底的に破壊されるリアリティを、改めて私たちの眼前に提示しました。パンデミックは格差を明るみにし、そして助長させました。K字経済(格差が二極化した状態)が世界的に広がり、気候変動リスクはもはや無視できるラインを大きく超えています。
はたして、人類(私たち)は驕っていたのでしょうか。
2018年と言えば、東京オリンピックの開催準備にわいていた頃です。あの頃の高揚感を想起すれば、数年後こういった世界情勢になることは多くの人が夢にも思わなかったのではないでしょうか。とかく、先行き不透明な時代です。世間では、この視界不良な時代を「VUCA」と呼称しているようです。
ただ、このVUCA時代でも、一つだけはっきりとしていることがあります。
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