Netpress 第2157号 どう変わる? 2022年度の総務・法務分野の法改正を確認する

Point
1.来る2022年度においても、総務・法務の分野においては、さまざまな法改正が予定されています。
2.企業の総務・法務担当者は、関係する法改正に、適切かつ迅速に対応していく必要があります。


株式会社日本実業出版社
月刊『企業実務』編集部


企業の総務・法務担当者が2022年度に押さえておくべき主な改正事項としては、次のものが挙げられます。


改正項目
施行日
中小企業に対するパワハラ防止措置義務の適用
2022年4月1日
一般事業主行動計画の策定・届出と情報公開義務の対象拡大
2022年4月1日
個人の権利保護の強化など個人情報保護法の改正
2022年4月1日
(一部施行済)

通報制度の実効性を高める公益通報者保護法の改正
2022年6月1日


以下、各改正項目について主なポイントなどをまとめましたので、参考にしてください。

1.中小企業に対するパワハラ防止措置義務の適用

改正労働施策総合推進法(2019年6月5日公布)により、2020年6月1日から、職場におけるパワーハラスメントの防止措置を講じることが事業主の義務とされています。


中小企業はこれまで努力義務とされていましたが、2022年4月1日からは中小企業についても義務化されます。


具体的には、職場のパワーハラスメントを防止するため、事業主は次の措置を講じる必要があります。


・事業主の方針等を明確化し、周知・啓発すること
・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること
・パワーハラスメントが発生した場合は、迅速かつ正確に事実関係を確認し、被害者に対する配慮措置と行為者に対する措置を適正に行い、再発防止に向けた措置を講じること
・相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること
・相談等を理由として、解雇その他不利益な取り扱いを行わない旨を定め、労働者に周知・啓発すること


2.一般事業主行動計画の策定・届出と情報公開義務の対象拡大

女性活躍推進法では、事業主に対して、一般事業主行動計画の策定・届出と、女性活躍推進に関する情報公表を義務づけています。「一般事業主行動計画」とは、企業が自社の女性活躍に関する状況の把握と課題の分析を行い、それを踏まえた行動計画を策定するものです。


改正女性活躍推進法(2019年6月5日公布)により、2022年4月1日以降、義務化の対象が常時雇用する労働者数301人以上の事業主から101人以上の事業主へと拡大されます(100人以下の事業主は努力義務)。


そのため、常時雇用する労働者数101人以上300人以下の事業主は、新たに次の措置を講じる必要があります。


・自社の女性の活躍に関する状況の把握と課題の分析
・1つ以上の数値目標を定めた一般事業主行動計画の策定、社内への周知、外部への公表
・行動計画を策定した旨の労働局への届出
・自社の女性の活躍に関する1項目以上の情報公表


3.個人の権利保護の強化など個人情報保護法の改正

改正個人情報保護法(2020年6月12日公布)が、2022年4月1日に全面施行されます。


2015年の個人情報保護法の改正により、3年ごとの見直し規定が盛り込まれましたが、2020年の改正は、この見直し規定に基づく初めての改正となります。今回の改正の主なポイントは次のとおりです。


・利用停止・消去、開示等に関して、個人(本人)の権利保護の強化
・不適正な方法による利用禁止など事業者の責務の追加
・事業者の自主的な取り組みを促す認定個人情報保護団体制度の充実
・氏名等を削除した仮名加工情報の創設、個人関連情報の第三者提供規制
・虚偽報告等に対する法定刑の引き上げ、罰金刑の法人重科
・外国事業者を罰則で担保された報告徴収・命令の対象に追加


4.通報制度の実効性を高める公益通報者保護法の改正

通報制度の実効性を高めることなどを目的として、改正公益通報者保護法(2020年6月12日公布)が、2022年6月1日に施行されます。今回の主な改正ポイントは次のとおりです。


・事業者への内部通報に対して適切に対応するために必要な体制の整備等(窓口設定、調査、是正措置等)の義務づけ(従業員300人以下の事業者は努力義務)
・実効性確保のための行政措置(助言・指導、勧告、勧告に従わない場合の公表)の導入
・内部調査等従事者に対する通報者を特定させる情報の守秘の義務づけ
・行政機関等への通報を行いやすくするための体制の整備
・通報者がより保護されやすくするための体制の整備


以上のほか、次のような改正もありますので、関係する企業は留意するようにしてください。


改正項目
施行日
内容
改正民法の施行
2022年4月1日
成年年齢を20歳から18歳に引き下げ
改正特許法等の施行
2022年4月1日
(一部施行済)

デジタル化等の進展に対応した権利保護の見直し、知的財産制度の基盤の強化など
改正プロバイダ責任制限法の施行
2022年10月27日までの政令で定める日
(現時点では未定)

ネット上の誹謗中傷などの被害回復を早めるための新たな裁判手続の創設など



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