Netpress 第2159号 ビジネスチャンスの拡大など SDGs・ESGに対応したホームページでの情報発信

Point
1.自社のSDGs・ESGの取り組みを効果的に情報発信することは、ビジネスチャンスの拡大や優秀な人材の獲得につながる、重要かつ優先度の高い事項になっています。
2.ホームページは求める情報にアクセスしやすく、また、一度開設して終わりではないので、時代の変化に合わせて進化させていくことが肝要です。


日興アイ・アール株式会社
ソリューション&リサーチ室
岡芹 弘幸 / 見目 準平


1.SDGs・ESGの情報発信でビジネスチャンスを広げる

政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、カーボンニュートラル社会への挑戦を通じて、日本の経済を活性化させる政策を推し進めています。また、日本の大手企業の多くも、SDGsの17の目標を踏まえて、社会的課題の解決と企業価値の向上を両立させる戦略を展開しています。


こうしたことから、SDGs・ESGの関連市場には、一段と多くのビジネスチャンスが生まれる可能性が高いといえます。


そのため、自社がSDGs・ESGに関して「どのようなことを志向しているのか」を効果的にアピールする重要性が増しています。SDGs・ESGを積極的に経営戦略に反映させることができれば、より多くのビジネスチャンスを獲得することもできるでしょう。

2.実際にどんな取り組みがなされているか

SDGs・ESGは、大手の上場企業が取り組む事柄と考える向きも一部ではありますが、上場・非上場あるいは会社の規模に関係なく重要になっています。


たとえば、横浜市の株式会社大川印刷(非上場)は、「THE SOCIAL PRINTING COMPANY」を標榜し、印刷に使用する用紙や電力、配送面などでの環境配慮を強調する「環境印刷」を特徴づけることで、単なる価格競争にはなりにくいビジネスモデルを構築しています。


同様に、今治市のIKEUCHI ORGANIC 株式会社(イケウチオーガニック、非上場)では、環境に配慮したタオルであることを訴求することで、顧客ロイヤルティを高めています。


人材の採用面では、SDGs・ESGの取り組みを積極的に情報発信することは、優秀な若手人材の獲得に有効といえます。ミレニアル世代・Z世代と呼ばれる年齢層は、環境や社会への意識が他世代よりも高い傾向があります。


上記の株式会社大川印刷のホームページのリクルート・インタビューにおいて、社員が「環境への企業としての取り組みが志望動機になった」とコメントしています。

3.環境対応の情報発信も重要

SDGs・ESGのもう一つの側面として、大手企業や大手金融機関は、自社だけではなく、自社のサプライチェーン(調達先・販売経路や投融資先)も含めた温室効果ガスの削減量を重視する経営に舵を切りつつあります。


今後、日本政府が掲げる2030年度の温室効果ガス削減目標に時間軸が近づくほど、政策や企業の動きは加速する可能性が高まるでしょう。


仮に、大手企業や大手金融機関が温室効果ガスの削減量を重視する姿勢をさらに強めると、環境対応の取り組みが不十分なサプライチェーン内の企業や融資先企業に対して、取引規模の縮小や貸出金利の引き上げといった対応を進めるリスクがあります。


そうしたリスクをできるだけ小さくするためにも、自社のESGの取り組みを効果的にホームページで情報発信することは重要といえます。


競合する企業との関係でも、競合企業よりもESG対応を先行的に推進し、それを十分にアピールできていれば、競合企業に対して有利にビジネスを展開することができるでしょう。


一方、SDGs・ESGに関連する取り組みを行っているにもかかわらず、積極的な情報発信をしないでいると、ビジネスチャンスを逃してしまう懸念があります。

4.有益なコーポレートサイトを構築する

ホームページの目的は、会社案内、人材募集、自社の製品・サービスのPRなど、企業によってさまざまですが、あらためて自社のホームページの目的と利用価値を考えてみてください。


ホームページにおいて、自社の製品・サービスのPRを適切に行うことができていれば、売上増加に貢献するツールになります。


さらに、自社の事業内容やその魅力をしっかりと伝えることができていれば、新たな取引先や将来を担う人材を獲得するためのツールともなり得ます。


ホームページにアクセスするユーザーの目的もまた多様ですが、訪れる最初のページは一つであることが多いため、自社のフロントページにおいて、必要な情報がどこに掲載されているかをわかりやすく表現し、訪問者が求める情報への導線をしっかりと用意することが重要です。


また、デジタルネイティブな世代はもとより、スマートフォンやタブレット端末の普及によって、高齢者もそうした端末を使って情報を入手するようになっています。


したがって、これまではPC向けのみを想定していたホームページも、これからはいろいろな端末向けに対応させる必要があります。


SDGs・ESGの取り組みを効果的にアピールするためには、そうした基本的な要素を満たしたうえで、ステークホルダーに対して、自社のビジネスがどのようなかたちで社会貢献あるいは社会課題の解決につながっているのかをわかりやすく、具体的に示していくことが求められます。



ホームページは、一度開設すれば終わり、というものではありません。時代の変化に合わせて進化させることと、一方的な情報発信ではなく、訪問者に理解・共感されるように更新を続けることが大切です。


最後に、求められるホームページの基本的な要素を以下に示しておきますので、参考にしてください。



取引先、ユーザー、就職希望者など幅広いステークホルダーに対して、必要な情報をストレスなく入手してもらうための3つのポイント
1.コンテンツ
情報を網羅的に取り揃え、独自性・メッセージ性を付加
2.ユーザビリティ
ホームページ利用者が目的のコンテンツに直感的にたどり着けるような操作性
3.アクセシビリティ
年齢・性別、理解力や身体能力(視力)に関係なく利用できるような施策



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