SMBCコンサルティング発表、2021年ヒット商品番付 次なる一歩を踏み出した1年~東京2020、コロナ禍を越えて~
延期されていた「東京2020オリンピック・パラリンピック」が7月23日に開幕。日本は金メダルをオリンピックで27個、パラリンピックでは13個獲得し、コロナ禍で抑圧された人々に感動を与え、活力を生み出す力となった。
【東の横綱 東京2020オリンピック・パラリンピック】大半の会場は無観客となるなどの制約が設けられるといった異例ずくめで、7月23日に開幕した
人々に力を与えたのは、オリンピック・パラリンピックの選手たちだけではなかった。
最後までホームランタイトル争いに絡んで、投手との二刀流でファンを魅了した米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手。ア・リーグMVPも獲得した。
ケガや病気で大関から陥落しながらも、奇跡の復活で横綱に上り詰めた照ノ富士関。日本人で初めてゴルフのメジャー大会であるマスターズ・トーナメントで優勝した松山英樹選手や、全米女子オープンを制した笹生優花選手。
また、米プリンストン大学上席研究員の眞鍋淑郎氏はノーベル物理学賞を受賞した。
一方、コロナウイルスのワクチン接種は10月26日、2回接種を完了した人が人口の70.1%に達したとする集計結果を政府が発表。これはG7各国の中でもトップ水準。
【西の横綱 コロナワクチン】9月末の4度目の緊急事態宣言の解除と相まってワクチンに一定の効果はあったと見られており、停滞していた経済活動が動き出すことが期待される
余暇の楽しみでは、1月に第164回芥川賞を受賞した宇佐見りん氏の「推し、燃ゆ」や漫画「呪術廻戦」が大ヒット。歌手Adoの楽曲「うっせぇわ」も、人々の鬱憤を晴らすのに一役を買った。日本テレビ系ドラマ「ハコヅメ」も人気だった。
食ではイタリアのスイーツ、マリトッツォが旋風を巻き起こした。
【西の前頭2 マリトッツォ】日本では丸いパンとたっぷりのクリームにアレンジされたものが多く、洋菓子店だけでなく、コンビニやスーパーでもオリジナル商品が並ぶほどの人気となっている
チューブ調味料も続々登場。紅しょうがや、ねぎ・しょうが・にんにくのミックスなど、100種類以上。
コロナ禍による家での滞在時間の増加は、お酒の飲み方にも影響を与えた。健康志向も重なり、アサヒがアルコール0.5%の微アルコール飲料「ビアリー」を発売。
働き方の変化も続く。観光地など自宅以外の場所でリモートワークを行いつつ、休暇を楽しむワーケーションは続々と企業に取り入れられている。
【東の小結 ワーケーション】ワーケーションとは、ワーク=仕事とバケーション=休暇を組み合わせた造語
変化は服装にも及ぶ。スーツ専門店のAOKIは2月にアクティブワークスーツを発売。着映えと快適な着心地を追求した。
資源価格の高騰や半導体不足で商品やサービスの値上げが行われる中、逆に値下げに踏み切る「新」価格・販売戦略が話題となった。携帯電話料金では、キャリア各社が続々と新しい割引プランを打ち出したほか、ユニクロは従来の税抜価格を税込価格とし、実質値下げをした。
気候変動やDXの進展といった社会の課題への政府・企業の取組みも目立った。
4月の地球温暖化対策推進本部の会合で、菅義偉首相(当時)は2030年に温室効果ガスを2013年度比で46%削減する目標を表明。
これは6年前の26%からの大幅な引き上げで、世界的な脱炭素化をリードするという意欲的なものだ。また、異例のスピードで船出したデジタル庁の今後にも注目される。環境問題に関連しては食糧不足に備えて、ベジタブルミートへの関心が高まっている。
本田技研工業は、世界に先駆けて自動運転レベル3の機能を搭載した新型レジェンドを3月に発表。システムが要求したらドライバーが運転を代われることを要件に、すべての運転操作をシステムに任せることができる。
(注)本番付は、相撲の番付の形式を採用しているため「東」と「西」に分かれていますが、選ばれた商品と地理的な東西の関係は一切ありません。対象は、個別の商品にとどまらず、一定のカテゴリーの商品群や人物・社会現象等を含みます。また、番付の順位は、出荷台数、売上高等の実績だけでなく、マーケットに与えた意義やインパクト、今後の成長性等を総合的に判断し、決定したものです。
※SMBCコンサルティングのホームページで、過去32年分の(平成元年~)のヒット商品番付もご覧いただけます。
◎写真提供 朝日新聞社
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