Netpress 第2137号 新たな措置を追加 若者雇用促進法に基づく「事業主等指針」の改正内容

Point
1.若者雇用促進法(正式名称は「青少年の雇用の促進等に関する法律」)は、若者の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できる環境を整備することを目的とする法律です。
2.同法により定めることとされている「事業主等指針」が改正されたので、その内容を確認します。


弁護士 中村 新


1.若者雇用促進法の概要

若者雇用促進法は、次の(1)〜(4)の制度を柱としています。


(1)青少年雇用情報の提供

新卒者の募集・求人申込みを行う事業主は、次の①〜③の類型のそれぞれについて、右に列記された事項を提供するよう努めなければなりません。



①募集・採用に関する状況

ア 過去3年間の新卒採用者数・離職者数

イ 過去3年間の新卒採用者数の男女別人数

ウ 平均勤続年数

②職業能力の開発・向上に関する状況

ア 研修の有無と内容

イ 自己啓発支援の有無と内容

ウ メンター制度の有無

エ キャリアコンサルティング制度の有無と内容

オ 社内検定等の制度の有無と内容

③企業における雇用管理に関する状況

ア 前年度の月平均所定外労働時間の実績

イ 前年度の有給休暇の平均取得日数

ウ 前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)

エ 役員に占める女性の割合と管理的地位にある者に占める女性の割合



また、応募者、応募の検討を行っている者や、求人申込みを行ったハローワークや職業紹介業者から求めがあった場合には、各類型のそれぞれについて、少なくとも1項目の情報提供が義務付けられています。


これらの情報の提供は、ハローワーク等から提供を求められた場合を除いて努力義務にとどまりますが、大学等への求人申込みに際しては、事実上、求められることが多くなっています。


ハローワークへ求人申込みを行う場合は、求人申込書の書式に、これらの情報の記載欄が設けられています。


(2)ハローワークにおける求人の不受理

ハローワークは、労働基準法、最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に関する一定の規定に違反し、法律に基づく処分、公表、その他の措置が講じられた求人者について、新卒者の求人申込みを受理しないことができるとされています。


この規定を受けて、ハローワークは、法違反により是正勧告を受け、あるいは公表された企業について、新卒者の求人申込みを一定の期間、不受理としています。


(3)ユースエール認定制度

若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況などが優良な中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の事業主)を厚生労働大臣が認定する制度です。


厚生労働省が設定する認定基準を満たし、ユースエール認定された企業は、厚生労働省が運営する検索システムや、ハローワークインターネットサービス・ハローワークの求人情報提供端末で、ユースエール認定企業として検索することが可能となります。


また、ハローワークに求人票を提出したユースエール認定企業は、各都道府県労働局やハローワークが開催する企業説明会・就職説明会に優先的に参加することができます。


(4)事業主等指針

事業主等の責務に関して、事業主等が適切に対処できるよう、必要な指針(事業主等指針)が定められています。


改正前の指針は、平成27年厚生労働省告示第406号で示されました。労働条件の明示、固定残業代制を採用する場合の必要事項の明示、採用内定取消しの防止への努力、青少年雇用情報の提供にあたっての留意事項などが、改正前の指針の内容です。


2.事業主等指針の改正内容

令和3年厚生労働省告示第187号により、事業主等が講じるべき措置として、事業主等指針に次の4つの事項が追加されました。


(1)募集情報等提供事業者・募集者等における個人情報管理

求人サイト・求人情報誌の運営業者・募集者等は、職業安定法に基づく職業紹介事業者等指針に基づき、求職者等の個人情報を適切に取り扱うこととされました。


(2)公平・公正な就職機会の提供

採用内定または採用内々定と引き換えに、他の事業者に対する就職活動を取りやめるよう強要するといった行為が禁止されました。


(3)ハラスメント問題への対応

事業主は、自ら雇用する労働者が、就職活動中の学生やインターンシップ中の学生に対する言動について、相当な注意を払うよう配慮することが望ましいとされました。


また、事業主は、パワーハラスメント防止指針等に基づき、職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント等の防止のため、雇用管理上の措置を講じることとされました。


(4)内定辞退等勧奨の防止

旧指針の内定取消しの防止から一歩踏み込み、採用内定者に対して、自由な意思決定を妨げるような内定辞退の勧奨を行わないこととされました。



近年、内定者に対する他社への就職活動の妨害、就職活動中の学生に対するリクルーターのセクハラ行為などが広く報道され、社会問題化しています。企業としては、改正事業主等指針を踏まえて、適切な対応を心がけましょう。



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