Netpress 第2134号 保存要件の緩和など 「電子帳簿保存制度」が大きく変わりました!

Point
1.2021年度税制改正により、帳簿書類をデータで保存する際の手続や要件が大幅に緩和されました。
2.今回の改正点は多岐にわたりますが、実務への影響が大きな事項を中心に、主な内容を確認します。


税理士 坂本 真一郎


電子帳簿保存法は、税法により書面で保存が義務付けられている帳簿や書類を、データで保存する場合のシステム要件や保存要件を定めています。


経済社会のデジタル化をふまえて、2021年度税制改正によりデータ保存の要件が大幅に緩和されるなど、抜本的な見直しが行われましたので、改正のポイントをみていきます。


1.電子帳簿等保存データに係る法令要件の見直し


(1)承認制度の廃止

国税関係帳簿書類をデータで保存する場合の承認制度が廃止され、所轄税務署長の事前承認が不要となります。


(2)対象帳簿データの二分化

対象帳簿データが、「優良電子帳簿」と「その他の電子帳簿」に二分化されます。


①優良電子帳簿

改正前と同等の法令要件を満たしたうえで帳簿の備付けと保存を行い、あらかじめ所轄税務署長に所定の届出書を提出していれば、信頼性の高い「優良電子帳簿」として、当該帳簿に記録されている事項に関して過少申告があった場合に、過少申告加算税が5%軽減されます。


②その他の電子帳簿

従来の帳簿データの要件は、①の優良電子帳簿と同等の要件のみが定められていましたが、最低限の法令要件を満たしたうえで、正規の簿記の原則に従って備付けと保存が行われている電子帳簿についても、その他の電子帳簿として、データによる保存が可能となります。


(3)帳簿・書類データの検索要件の緩和

①優良電子帳簿の検索要件

優良電子帳簿データの検索に必要な項目が、「取引年月日」「取引金額」「取引先名称」の3項目に限定され、税務調査等においてダウンロードデータを提供等できる場合には、「日付・金額の範囲指定検索」と「複数項目の組み合わせ検索」が不要になります。


②その他の電子帳簿の検索要件

税務調査等におけるダウンロードデータの提供等が必須となり、当該データを活用することでデータ抽出等が可能となることから、検索要件は不要とされます。


③書類データの検索要件

書類データについては、「取引年月日で検索できること」と「日付の範囲指定検索ができること」が従来からの検索要件ですが、税務調査等においてダウンロードデータを提供等できる場合には、これらの検索要件は不要となります。


(4)適用開始時期

改正後の法令要件は、2022年1月1日以降に備付けを開始する事業年度に係る帳簿データ、2022年1月1日以降に保存する書類データから適用されます。


2.スキャナ保存データに係る法令要件の見直し


(1)承認制度の廃止

国税関係書類をスキャナ保存する場合の承認制度が廃止され、所轄税務署長の事前承認が不要となります。


(2)入力期限等の緩和

領収書等の国税関係書類の受領者がスキャナで読み取る際の入力期限であった「特に速やか(おおむね3営業日以内)」が廃止され、書類を受領した後、「業務サイクル後速やか(最長で2か月とおおむね7営業日以内)」に入力を行うことが可能となり、また、書類への自署も要件から外れます。


(3)タイムスタンプ措置の緩和

入力期限内に入力した日時を、NTPサーバ(正しい時刻情報を取得・配信しているサーバ)と同期することなどにより客観的に確認でき、それ以降入力データが改変されていないことなどを証明できる場合には、スキャナ保存データにタイムスタンプを付与する措置は不要とされます。


(4)「適正事務処理要件」の廃止

紙の原本書類とスキャナ保存したデータとの同一性をチェックするための仕組みとして、法令上要求されていた「適正事務処理要件(相互けん制・定期的な検査・再発防止)」が廃止され、書類の受領者等が、原本書類が正しくスキャニングされていることを確認すれば、直ちに原本書類を廃棄することが可能になります。


(5)検索要件の緩和

検索項目が「取引年月日」「取引金額」「取引先名称」の3項目に限定され、税務調査等においてダウンロードデータを提供等できる場合には、「日付・金額の範囲指定検索」と「複数項目の組み合わせ検索」が不要になります。


(6)適用開始時期

改正後の法令要件は、2022年1月1日以降に保存するスキャナ保存データから適用されます。


3.電子取引データに係る法令要件の見直し


(1)電子取引データの書面出力保存の廃止

所得税法・法人税法の保存義務者について、原則として電子取引データの書面出力保存は認められなくなります。


(2)タイムスタンプの付与期限の緩和

電子取引データの授受後にタイムスタンプを付与する場合の期限が緩和され、データの授受後、「業務サイクル後速やか(最長で2か月とおおむね7営業日以内)」にタイムスタンプを付与することとされます。


(3)検索要件の緩和

検索項目が「取引年月日」「取引金額」「取引先名称」の3項目に限定され、税務調査等においてダウンロードデータを提供等できる場合には、「日付・金額の範囲指定検索」と「複数項目の組み合わせ検索」が不要になります。


なお、基準期間(前々年または前々事業年度)の売上が1,000万円以下の小規模事業者が税務調査等においてダウンロードデータを提供等できる場合には、すべての検索要件が不要になります。


(4)適用開始時期

改正後の法令要件は、2022年1月1日以降に授受する電子取引データから適用されます。



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