新入社員教育・若手社員教育コラム 新入社員が入社後に好調なスタートを切るために「社会人基礎力」を学ぶことが極めて重要なのはなぜか

変化が激しく、今まで以上に将来の予測が立たない世の中で活躍できる人財を育てるために重要な「社会人基礎力」とは? SMBCコンサルティングの新入社員研修などで講師を務める本田賢広氏がその重要性を指摘する。



株式会社セブンフォールド・ブリス 代表取締役

本田 賢広

VUCA時代に求められる人材とは

今は“VUCAワールド”と呼ばれています。変化が激しく(Volatility)不確実で (Uncertainty)、複雑で(Complexity)曖昧模糊な (Ambiguity) 世の中という意味です。さらに昨年来続く新型コロナにより、あらゆる分野で将来予測が困難な状況です。このような時代に適応し、活躍できるのはどのような人材でしょうか。


少なくとも指示待ちでリーダーの責任に委ねるだけといった態度ではなく、柔軟な考え方や対応力を持ち、自らの価値観で判断し自発的に行動できる。また機械やAIにはできない、人ならではの付加価値やチームワークを発揮できる、いわゆる「自律型人材」ではないでしょうか。


そんな中、経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」は、その重要性を増しています。社会人基礎力とは「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力から構成される「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」です。まさに、自律型人材に不可欠な要素と言えます。


能力の全体像~「人生100年時代」に求められるスキル~




社会人基礎力はいわばOSであり、あらゆる専門能力を発揮する前提として、常に必要とされる土台です。OSが十分機能しなければ、優れたアプリもその価値が宝の持ち腐れになる、それほどのインパクトを有しています。


社会人基礎力は、3つの能力とそれらを細分化した12の能力要素から構成されています。





これらの能力は新時代に必要とされる目新しいスキルかというと、決してそうではありません。ただ、経済が右肩上がりの時代であれば、多くの社員が受動的、場当たり的、利己的でもやっていけたかもしれませんが、この混沌とした時代においては、一人ひとりがリーダーシップやキャリアオーナーシップを持たなければ、個人も組織も豊かになるのは簡単ではないでしょう。その手段たる社会人基礎力の重要性が増したことを意味しています。


3つの能力<1>前に踏み出す力

「主体性」とは、指示待ちでなく自ら仕事を見つけ取組む姿勢、「新人だからできない」ではなく「学生時代の経験も含め、今の自分にできることは何か」等考える積極的なあり方です。


「働きかけ力」は、他人に働きかけ巻き込む力。個人では解決できない時に様々なサポートを仰ぎ乗り越える力です。相手の気持ちや立場を理解・尊重して協力を仰ぐとともに、普段から相手にGiveする姿勢が問われます。


「実行力」は、目的のもと失敗を恐れず動ける力、困難に遭遇しても決してあきらめない力です。うまくいかなくても「今回は何が学べただろう」と受け止められるリーダーシップです。


3つの能力<2>考え抜く力

「課題発見力」は常に目標を意識し、業務全体を客観的に分析し仕事に取組む力です。常に「これで良いのか?」と問題意識を持ち、問題があれば対応策の前に原因を分析する姿勢です。


「計画力」は、課題の解決に向けプロセスを準備する力。複数の仕事の優先順位を的確、臨機応変に判断する力です。


「創造力」は、新しい価値を生み出す力。常に改善し、既存の知識・ノウハウを組み合わせて価値を生み出す力です。フレッシュな視点、ゼロベースで考える意識が求められます。


3つの能力<3>チームで働く力

「発信力」は、自分の意見をしっかり持ち、立場や価値観、人種を超えて相手に伝わるよう伝える力。


「傾聴力」は、相手が話したい意見や想いを十分話してもらうことで、信頼関係を構築する力です。


「柔軟性」は、意見や立場の違い、変化に前向きに対応する力。国籍や文化などの違いにも関心を持ち、異なる価値観をニュートラルに受け止める力。


「情況把握力」は、自分の仕事だけでなく周囲の人間関係や忙しさ、感情などを考え、タイミングや場所に配慮して最適な行動を選択する力です。


「規律性」は、社会のルールや人との約束、マナーを、高い倫理観で守る力です。信頼関係構築、効率アップ、リスク低減、皆が気分良く働く職場の実現に寄与します。


「ストレスコントロール力」は、ストレスの発生源に対応する力。強くストレスを感じる傾向のあることは取り除き、取り除けないものはリフレッシュ法で気分転換を図れる力です。


社会人基礎力を「体得」する

社会人基礎力は「知識」だけあっても全く意味を成しません。体得して「智慧」になって初めて価値あるものとなります。


また、3つの能力、12の能力要素は、あらゆる職種で活躍できる力強いOSとなり得ますが、何もビジネスに限ったものではありません。前に踏み出す勇気があり、考え抜く粘り強さがあり、チームで働けるマインドのある人は、プライベートでもどこでも好まれ、信頼されます。幸せな人生を生きられる可能性が高いのです。


社会人基礎力を教育していく中で新入社員を勇気づけ、応援していくことで、彼らは「人材」「人財」に育ってくれることでしょう。




PROFILE

本田賢広(ほんだ・たかひろ)

対人恐怖症を克服し、プルデンシャル生命ほか外資系生保2社で販売実績全国2位、プレイングマネジャーとしても部下を最下位から1位に育てた。「人は誰しも価値がある」と確信し、株式会社セブンフォールド・ブリスを設立した。日本のコーチング業界20年の歴史で未だ累計30名強しかいない国際コーチング連盟マスター認定コーチ(MCC)として、上場企業の役員を中心にコーチングを2,500時間超実施。企業研修講師としても上場企業等にて人財育成力向上等に貢献、延べ登壇回数2,000回超。「論理と感情が半々でバランスが良い」「豊富な事例と裏付ける理論で実践しやすい」「スキルだけでなく原理原則を修得させてくれる」等、高評価をいただいている。MBA

【著書】「実践!1on1ミーティング」(日経文庫)、「”VUCA”の時代にあなたはどう生きるか」(SMBCコンサルティング)ほか多数。



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