Netpress 第2128号 マスク着用でも、オンラインでも! 相手の心に届く「発声法」トレーニング
1.マスク着用時の会話やオンラインでのコミュニケーションでは、声の出し方や伝わりにくさが課題となります。
2.ここでは、主にビジネスシーンを想定して、自分自身の発声法を見直し、「よい声」「通る声」を出すためのトレーニングのノウハウを伝授します。
ビジネスボイストレーナー
ボイトレYouTuber 毛利 大介
筆者は、ビジネスボイストレーナーとして、経営者をはじめたくさんのビジネスパーソンを指導していますが、自分の声や話し方に自信がない人は、非常に多くいます。それもそのはずで、話し方や、コミュニケーションをとる際の「発声法」を習ったことがある人はほとんどいません。
また、コロナ禍で日常的にマスクの着用がマナーとされ、またリモートでのコミュニケーションが当たり前になりました。こうした状況の変化に合わせて、「伝える工夫」をすることがより重要になっています。
1.マスク越しやオンラインで伝わりにくい原因
マスク越しだと、「自分の話が相手に伝わっていないのでは?」と不安を覚える人は多いと思います。その原因は、「唇の動きが見えない」からです。
実は、わたしたちは相手の声を耳で聞くだけではなく、唇の動きを見て言葉を推測しています。マスクによってその推測が妨げられると、実際に相手の言葉が聞きとりにくくなったと感じるのです。
次に、オンラインの場合には、慣れていないことによる不安、通信環境(パソコンの性能やネット環境など)が異なることによる不安が、「伝わりにくい」ように感じる一因として考えられます。
そしてもう1つが、マイクが拾える周波数の問題です。パソコンやスマートフォンのマイクの性能にもよりますが、一般的に人間の耳が拾える周波数の範囲より、マイクが拾える周波数の範囲はずっと狭いのです。
ですから、より一層、オンラインでは「はっきり話す」ことが大切になります。「はっきり話す」ためには、「滑舌」を鍛える必要があります。声の大きさも大切ですが、滑舌を鍛えることも重要なのです。
2.「鼻腔共鳴」――しっかり伝えるトレーニング①
では、相手に自分の声をしっかり伝えるトレーニングをしていきましょう。
まずは、マスク越しでも「通る声」になる方法です。ポイントとなるのが「鼻腔共鳴」。つまり、鼻を鳴らす練習をします。
人の声は、自分の体のなかにある空洞に共鳴してよりよく響き、また心地よい声になります。鼻腔は、マスクより少し上に位置するので、マスクの影響を受けることなく、響きを相手に直接届けやすいのです。
❶鼻の骨をつまみながら、声に出して「んー」と言ってみる
鼻の骨をつまんで(目と目の間より少し下、メガネがのるあたり)、そのまま「んー」と言ってみてください。
ビリビリと振動するのがわかりますか? これが、あなたの声が鼻腔に響いている状態です。
❷そのまま「あー」と言いながら、「んー」との違いを確認
では続いて、そのまま「あー」と言ってみてください。ビリビリが減ってしまったのではないでしょうか。
これを、「あー」の状態でも「んー」のときと同じように、鼻腔に響くように練習します。
❸「んー」で振動を確認しながら、「いー」「えー」「あー」の順に、ビリビリと振動させて発音できるように練習する
「んー」で響きを確認したら、次は「いー」。わざと鼻声にするのがコツです。鼻の骨はビリビリしたでしょうか? 次は「えー」。それができたらもう一度「あー」。同じ要領で、「うー」「おー」と続けます。どの母音のときも、しっかり鼻の骨が振動することがゴールです。
これを身につけると、マスク越しでも、また広い会場でマイクがなくても、透き通るようないい声になります。この練習を繰り返すほど「響く身体」になっていきますので、ぜひ継続的にトレーニングをしてみてください。
3.「母音筋トレ」――しっかり伝えるトレーニング②
次は発音、つまり滑舌のトレーニングです。ここでも、重要なのは「母音」です。「あ・い・う・え・お」をはっきり発音することを意識します。マスクをしていると、普段よりも口の周りの筋肉を動かしにくくなります。マスクに負けずに、唇をしっかり動かす筋トレをしていきましょう。
1つひとつの母音を丁寧に発音できるようになったら、「あ・え・い・う・え・お・あ・お」と、続けて声に出してみましょう。頬骨のあたりの表情筋が、しっかり動いているのを感じますか? ぜひ、鏡を見ながら練習してみてください。
4.「目の笑顔」――しっかり伝えるトレーニング③
コミュニケーションにおいて、「表情」が非常に大切なことはいうまでもありません。印象をよくして、コミュニケーションを円滑にするためには、表情は必須の要素です。マスクをしていると口元が見えないので、さらに意識しないと、表情は伝わりません。そこで、鍛えるべきは、「目の笑顔」です。
では、やってみましょう。鏡に自分の顔を映してください。手で口元を隠して、目のあたりだけが見えるようにします。その状態で、笑ってみましょう。目だけで笑っているように見えますか? 笑っているように見えない人は、「眼輪筋」(目の周りの筋肉)が弱い可能性があります。
眼輪筋を鍛えるには、上の歯を出して、笑顔をつくった状態で、目をぎゅっと閉じます。そして、2秒キープしたら緩めます。これを10回ほど繰り返しましょう。よい笑顔も、眼輪筋からです。
伝えることにおいて、ほとんどの人は話す内容にばかりフォーカスします。しかし、声や話し方、表情といった非言語も、コミュニケーションの重要な要素であるということが、さまざまな研究によりわかっています。あなたの印象をよくして、コミュニケーション能力を高めるために、「声」にもフォーカスしてみてください。
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