Netpress 第2527号 抜けや漏れがないように 休職とは?制度の趣旨や必要な手続き

Point
1.休職は、雇用関係を維持したまま労務提供を免除または禁止する制度です。
2.欠勤や休業・休暇とは趣旨や取り扱いが異なります。
3.従業員が休職に入った際は、給与の取り扱いや社会保険資格に注意が必要です。


社会保険労務士法人トムズコンサルタント
特定社会保険労務士
中小企業診断士
船橋 洸太


 休職制度は多くの企業で定められていますが、法律に明確な定めがなく、趣旨や必要な手続きがわかりづらい制度でもあります。


 そのため、欠勤として扱うべきか、休職に切り替えるべきか、判断に迷うケースもあるでしょう。


 本稿では、実務で迷いやすい休職について、制度の基本や似た制度との違い、従業員が休職に入る際に必要な手続きを解説します。

1.休職とは?

 休職とは、従業員が病気やケガなどによって労務提供ができない、または労務に従事させることが適当ではない場合に、雇用契約を維持したまま就労を免除または禁止する制度です。


 休職には、主に次の種類があります。


休職の種類要  件
私傷病休職私傷病により労務提供が不能となる場合
事故欠勤休職傷病以外の従業員の都合で労務提供が不能となる場合
起訴休職刑事事件での起訴により労務提供が不能となる場合
出向休職在籍出向により出向元で労務提供を行わない場合


 労働基準法には休職に関する直接の定めはありません。休職制度を定めるか否か、定めた場合の適用要件や期間などは、企業の任意で設定することができます。


 その分、休職を命じるには就業規則の定めなど、労働契約上の根拠が必要です。


 また、休職命令は業務上の命令であることから、発令にあたっては合理的な理由や社会通念上の相当性も求められます。


 本稿では主に、実務上の対応が発生しやすい私傷病休職を取り上げます。

2. 休職と似た制度

 休職と混同しやすい制度として、欠勤や休業・休暇があります。いずれも休職とは趣旨や取り扱いが異なるため注意が必要です。


●欠勤

 欠勤は、労務提供義務があるにもかかわらず、病気や私的事情などによって従業員が出勤しない状態です。企業が就労を免除・禁止しているわけではない点が休職と異なります。


●休業・休暇

 休業・休暇は、本来は存在する労務提供の義務が免除された期間です。


 休職が従業員側の都合により労務不能になるケースが主である一方、休業・休暇は、使用者側の都合や法律に定められた要件に該当した場合に、就労義務が免除される点が異なります。


 特に注意したいのが、企業側の都合で従業員を休ませる場合です。


 賃金支払い義務が原則として発生しない休職とは異なり、使用者側の都合で従業員を休業させる場合は、労働基準法にもとづく休業手当を支払わなければなりません。

3. 従業員が休職する際に発生する手続き

 従業員が休職する際は、必要な手続きを抜けや漏れがないように行い、休職期間中の身分や給与の取り扱いを対象者に説明しておくことが重要です。必要な手続きを5点紹介します。


(1) 休職命令の発令

 まずは就業規則で休職制度の有無、休職事由や休職期間を確認しましょう。


 対象の従業員が休職の要件を満たす場合は、休職命令を発令します。発令の形式に決まりはありませんが、休職の始期や期間、休職中の賃金の取り扱いなどを明示した書面で通知しておくと、トラブル防止に役立ちます。


(2) 給与処理

 休職中は勤務実績がないため、原則として賃金を支払う必要はありません。ただし、休職期間中も賃金を支給する旨を就業規則に定めている場合には、支払う必要があります。


 また、賃金計算期間の途中で休職に入った場合は、勤務していた分の賃金は支払わなければなりません。手当ごとの支給要件や日割り計算の方法を確認しましょう。


(3) 社会保険の被保険者資格

 健康保険や厚生年金保険の被保険者である従業員が私傷病休職に入った場合、被保険者資格は継続します。毎月の社会保険料も免除されないため、給与から控除できない場合は従業員から別途徴収する処理が発生します。


 社会保険料が発生する旨と従業員負担分の取り扱いは、あらかじめ伝えておきましょう。


(4) 傷病手当金

 傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガで働くことができず、報酬を受けられない場合に申請できます。申請にあたっては医師による労務不能の証明が必要になるため、休職開始の段階で制度の内容や必要な手続きを案内しましょう。


(5) 休職期間満了の通知

 休職期間満了日になっても従業員が復職できない場合、労働契約が終了します。この際、退職(自然退職)扱いとなるか解雇扱いとなるかは就業規則の定め次第です。


 ただし、従業員が復職できる状態にもかかわらず復職を認めなかった場合は、権利の濫用とみなされるケースもあります。休職期間満了前に本人の状態を確認したり、復職できない場合の取り扱いを事前に書面で通知したりするなど、適切な対応を行いましょう。



◎協力/日本実業出版社

日本実業出版社のウェブサイトはこちらhttps://www.njg.co.jp/



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