脱・ぬるま湯組織!本当の意味での「組織内での心理的安全性」を目指せていますか?
1.「心理的安全性」 に関するよくある誤解
「心理的安全性」について話題にすると、人事担当者の方や管理職の方々から「それではぬるま湯組織になってしまう!」・「馴れ合いのようなコミュニケーションでは良い仕事はできない」といったご意見を時折頂戴することがあります。もしも皆さんの中にそうした印象があるのであれば、それは「心理的安全性」に関する誤解があるかもしれません。

では、どのような状況にあれば「本当の意味で心理的安全性の高いチーム」といえるのでしょうか。以下に心理的安全性の高いチームの特徴を①~⑦まで挙げてみました。まずは皆さんそれぞれの所属する組織・課などをイメージして、自組織がどのような状況にあるかをセルフチェックしてみましょう。
■心理的安全性が高いチームの特徴
①チーム内でミスをしても批判されることは少ない
②チーム内のメンバー同士は課題やネガティブな事柄も言い合える
③チーム内では、異質とされるものでも肯定される傾向にある
④チームに対し、リスクの想定される行動をしても大丈夫だと思える
⑤チーム内のメンバーに助けを求める事ができる
⑥チーム内のメンバーに自分を陥れようとする人はいない
⑦このチームでは、自分のスキルや才能が発揮されていると感じる
前述のような誤解があるのは、特徴①に記載してある「ミスをしても批判されることは少ない」という表記が印象的すぎるからなのかもしれません。しかしながら、特徴②に「メンバー同士は課題やネガティブな事柄も言い合える」と記載があるように、「本当の意味で心理的安全性の高いチーム」では、メンバーが失敗を恐れずに挑戦することができ、積極的にアイデアも出すことができて建設的な議論を行うことができる状態となります。
つまり、「心理的安全性」があるということは、組織内の風通しが良いということや批判をされないということだけでなく、前向きな提案のみに留まらずネガティブな報告・指摘・提案がチーム内でできる雰囲気があるということになります。何かを報告・提案した際に「こんなことも知らないの?」、「そういうことを言うから仕事が進まない」などとメンバーを不安にさせるチームでは、分からないことを聞けず、萎縮してしまったり、失敗やミスを隠蔽してしまったりする可能性が出てきてしまいます。ネガティブな事象が生じるのは業務上自然なことだ(充分生じ得ることだ)と受け止めた上で、“ネガティブなことが無いこと・起こらないこと”を前提とせずに、チーム内で問題を取り扱っていけることが「心理的安全性」の本質といえます。

2.心理的安全性の高い職場を目指して取り組むべきこと
では、前述のような「本当の意味で心理的安全性の高い職場」を目指すためには何をどのように取り組めばよいのでしょうか。今回は人事向けアプローチと管理職向けアプローチの2点に絞ってご紹介したいと思います。
(1) 心理的安全性の高い組織を目指して取り組みたい人事向けアプローチ
| ☑ | 人事評価制度において、挑戦的な取り組みだけでなく、建設的な失敗(注1)を適切に評価する仕組みを導入している |
| ☑ | 社員に提供する研修プログラムの中に、心理的安全性に関する研修も位置付けられ、体系化している |
| ☑ | 心理的安全性に関する研修プログラムが全管理職に対し行われている(必修化) |
| ☑ | 労働環境整備の一環として、多様な働き方に対応した制度設計だけでなく、社員のメンタルヘルスケア施策も充実させている |
| ☑ | 心理的安全性の重要性について「経営メッセージ」として継続的に発信し、組織の価値観として定着させる努力を続けている |
| ☑ | 従業員満足度調査に心理的安全性の測定項目を組み込み、改善効果の把握と継続的な施策改善を行っている |
(注1)
建設的な失敗とは、ルールを無視したり準備不足や「手抜き」からくる失敗とは異なり、新しいやり方やアイデアに挑戦した結果として起こる失敗や、仮説を立てて試した結果のうまくいかなさなどのことを示します。
(2) 心理的安全性の高い組織を目指すために必要な管理職向けアプローチ
| ☑ | 部下との1on1において、部下の話を否定せず(自分の善悪の評価・好き嫌いの評価を入れずに)、“部下は何故そのような考えに至ったのか”という話の背景に肯定的な関心をもって聴くことができる |
| ☑ | チーム内に率直に話し合えない雰囲気が感じ取れた際、どのような理由があって部下たちは言いたいことを言えないでいるのかという点にしっかりと目を向け検討することができる |
| ☑ | 管理職自身が何かミスや失敗をした際には、積極的に部下に報告をしたり謝罪をしたりすることができる(管理職自らあえてメンバーに弱さを見せることによってチーム内で物事が言いやすい雰囲気を醸成することができる) |
いかがだったでしょうか。心理的安全性の高い組織を目指して取り組みを進める企業が近年増えてきましたが、実際には本来の心理的安全性の意味合いが充分に組織内に浸透していなかったり、取り組んでいる研修が部分的になってしまっていたり、管理職-部下間で行われている1on1が有意義なものになっていなかったりと、課題が残る企業も多いのではないでしょうか。多田国際コンサルティング株式会社では、心理的安全性の高い組織を目指すために必要な施策に関するコンサルテーションや、研修プログラムの実施・充実、管理職による1on1に関する教育施策などもサポート可能となっています。必要な場合はぜひお気軽に声掛け下さい。経験豊富な講師が御社にピッタリのプランをご提案いたします。
出典:
- 『日本の人事部 人事白書2025』
- ピョートル・フェリスク・グジバチ 「世界最高のチーム グーグル流『最少の人数』で『最大の成果』を生み出す方法」 朝日新聞出版
- 本間 浩輔 「ヤフーの1on1-部下を成長させるコミュニケーションの技法」 ダイヤモンド社
プロフィール

多田国際コンサルティング株式会社 臨床心理士・公認心理師 羽田野 瑛子
私たち多田国際コンサルティンググループは、多田国際コンサルティング株式会社と多田国際社会保険労務士法人で構成しております。
多田国際コンサルティング株式会社では、労務分野の豊富な知見をベースとした、専門性の高い人材・組織系のコンサルティングサービスにより、人事制度、人材育成、労務管理等はもちろん、 IPO、M&A、海外進出といった企業を取り巻く様々な課題の解決を通して、企業価値向上をサポートして参ります。







