SMBC経営懇話会 今月の耳より情報 ー 第5回 自社の課題やニーズに合わせて、内容をカスタマイズできる社員研修
コロナ禍を経て、「部署を越えた横のつながりができる」「皆で集まって同じ研修を受けることで、社内の共通言語が生まれる」など、集合型の研修の価値が見直されている。
テーマが定められた講座を選んで受講する公開型セミナーに対し、「講師派遣」型の研修は自社の社員のために、オーダーメイドで独自の研修プログラムを組み立てることが可能だ。サービスの質を支えているのが、各分野に精通した講師陣の存在で、約300人のネットワークがある。企業は研修テーマや、業種などの特性に合わせて、最適な講師を選ぶことができる。
研修の成功のカギを握るのが、事前の打ち合わせだ。研修プログラムの企画担当者と打ち合わせをするうちに、企業側が本質的な課題に気づくことも少なくない。「ハラスメント研修を検討していた企業様が、打ち合わせの中で一番の問題は社内のコミュニケーションだと気づき、ハラスメントとコミュニケーションの両方の研修を行ったケースもあります」と、東日本担当の出村さん。
臨機応変に対応するため、提案の引き出しを多く用意するようにしているという。打ち合わせの過程では講師も同席し、専門知識にもとづく深い情報交換を行う。講師の人柄や話しぶりを事前に知ることができるのも、講師派遣型研修のメリットだ。
研修テーマで最近ニーズが多いのが、ハラスメントやコンプライアンスに関するもの。これらは社内教育における必須の項目だと認識されている。次期リーダーや経営幹部の育成を目的にした研修を希望する企業も多い。もともとは自社の社員が講師を務めるなど社内で研修を完結させていた企業が、質の維持・向上のために講師派遣型に切り替えることもある。
事前の打ち合わせには講師も同席し、最適な研修プログラムを組んでいく
最初の意識づけでより有意義な学びに
リアルの集合型研修は1カ所に社員を集めるため、研修サービスの依頼料以外にも社員の交通費や宿泊費などの経費がかかる。その分、実施を検討する経営者としては、費用対効果への関心が高い。
より有意義な研修にするための工夫の一つが、グループワークやディスカッションなど、アウトプットが中心のプログラムにすること。受講者に前もって課題を渡してインプットは済ませてもらうなど、メリハリをつける。働き方改革以降、長期間の宿泊研修などが減る一方、限られた時間でも内容の充実した研修にしようという流れが強まっている。
「なぜその研修を行うのかという会社の考えを先に伝え、受講者が目的意識をもって参加できるようにすることもポイントです」と西日本担当の網谷さん。社長や役員が当日の冒頭に5~10分、受講者に向けて研修の意図を話すのも効果的だという。
また、複数回に分けて実施するシリーズ研修であれば、初回後に講師を交えて内容をブラッシュアップしていくほか、講師から受講生へのフィードバックやフォローアップ研修を行うことでさらなる浸透を図っている。
企業からの反応は、「若手の定着率が上がった」「休憩中に受講者同士が雑談するなど交流ができた」「社内の雰囲気がよくなった」などさまざま。
「外部講師という第三者を通すことで、受講者が聞いた内容を素直に受け入れられる点も好評です」(網谷さん)。ここも、社員が講師を務める研修とは異なる効用だ。集合型の研修に動画視聴を組み合わせたり、「オンラインの仕組みも併用しながら、今後も企業様に合った研修プログラムを提供していきたい」(出村さん)という。
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社員研修(講師派遣)
◎取材・文/石橋真理
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