Netpress 第2371号 これだけは押さえておきたい ビジネスメールのマナーと注意点

Point
1.ビジネスメールのやり取りにもマナーがあり、マナーに則った作成・送信等を心がけることが求められます。
2.基本的な構成や書き方等は理解している前提で、ビジネスメールのマナーと注意点を紹介します。


一般社団法人日本ビジネスメール協会
株式会社アイ・コミュニケーション
専任講師 直井 章子


1.メールを送る時間帯

メールは、いつでも送ることができますし、受信者は都合のよいときに読むことができます。しかし、ビジネスメールの対応は「勤務時間内」が基本です。


夜間や休日にメールを送ることもできますが、勤務時間外でのメールの送受信は避けたほうがよいでしょう。


夜間にメールを送れば、「こんなに遅くまで仕事をしているのか」と受信者は心配するかもしれません。勤務時間外にメール対応をすることで、「仕事が早いな」「すぐに返事がきてありがたい」と相手に評価されたり喜んでもらえたりすることがあっても、これが繰り返されると当たり前の状態になります。返事や対応は早いほうがよいですが、夜間や休日にまで対応したほうがよいというものではありません。


メールの返信は、受信してから1日(24時間)以内を目安にします。24時間以上待たせることがなければ、催促される可能性は低いと言えます。

2.メールチェックのタイミング

「受信通知が届いたら条件反射のようにメールをチェックしてしまう」「作業を中断してメールをチェックせずにはいられない」。これでは業務効率が悪くなります。


受信通知が届くたびに集中が途切れる、メールに振りまわされている、という思いを抱いたときは、デスクトップ通知を止めてみましょう。


メールの通知が目に入れば、気になって読みたくなります。でも、メール対応は仕事の一部であり、優先順位はさほど高くないことが多いでしょう。


メールを受信したら1分でも1秒でも早く対応しなければならない、という緊急性が高い場合を除いて、いま取り組んでいる仕事に集中し、手が空いたときにメールを見るようにしましょう。メリハリが大切です。


メールの処理は、朝、夕、さらに隙間時間にまとめてすると効率がよくなります。出社したら、前日の夕方から朝までに届いたメールを処理します。退社するときは、それまでに届いたメールをすべて処理した状態が理想的です。


仕事には隙間時間がつきものです。5分、10分の空いた時間を活かしてメールを処理します。


なかにはすぐに処理できないメールもあるでしょう。その場合でも、いつまでに返事をするかを事前に伝えておけば、相手は安心して待つことができます。

3.メールを送るタイミング

メールを送るのにベストなタイミングはいつでしょうか。


たとえば、面会のお礼メールが翌日に届くのと1週間後に届くのとでは、メールに書いてある内容が同じであっても、受け取る側の印象は異なります。間をおかずに言われたら好感が持てる感謝の言葉も、時間が経ってからだと事務的に感じられるかもしれません。つまり、時間の経過とともにメールの与える印象が変化することもあるのです。


では、早ければ早いほどよいのかというと、そうとも言えません。


たとえば、16時に終了するイベントのお礼メールが当日の16時ちょうどに届いたら、受信者はむしろ「機械的だ」と感じるのではないでしょうか。勤務時間内を目安に、当日中か翌日の午前中までに送るのが望ましいでしょう。2~3日後までは許容範囲だと言えますが、4日目以降になるような場合は、お礼が主ではなく別の用件でメールを送り、お礼をそえる程度にします。

4.催促するタイミング

メールの返信がなくてやきもきした経験は、誰しも1度や2度はあるでしょう。「催促したら、申し訳ない」と思う人もいるようです。しかし、期限のある依頼をしているのであれば、催促をするのも送信者の役目です。催促も、タイミングのルールを決めればスムーズに行えます。


まず、期限があるものは「期限」を伝えて、合意を得るようにします。


ただ、期限を伝えることは失礼ではありませんが、その設定が一方的で強引だと気持ちよく受け入れてもらえません。その日までに対応してほしい理由や事情をそえて伝えれば、相手は納得して動いてくれるでしょう。


期限を過ぎても返事がなければ催促をします。仮に「25日中に」という依頼で25日のうちに返事がこなければ、26日の午前中を目安に催促をします。


もっとも、受信者の立場で考えれば、すべてのメールに期限がついていると、「信用されていない」「仕事がやりにくい」と感じるかもしれません。


すぐに対応できると思われるものは、期限を書かなくても、1日、2日以内には返事がくると予想されます。そこで、期限を伝えたほうがよいもの、伝えなくても動いてもらえるものを判断して書き分けます。


前提として、仕事では多くの人が1日に1回はメールを見ています。「YES」「NO」で答えられるようなメールに返信がない場合は、読んではいるものの検討中であるとも考えられます。


そのようなときは、仕事への影響も考えて、2~3日後を見計らって状況を確認するメールを送ります。

5.2つの返信方法

メールの返信には「全文引用」と「部分引用」という2つの方法があります。両方をあわせた「過去のメールをすべて残して、返信箇所は部分引用で書く」というパターンもあります。


全文引用は、過去のやり取りが1通のメールに残るという利点があります。部分引用は、相手の文章にコメントをつけるので、回答モレなどを防げるという利点があります。目的や相手によって、使い分けるのがよいでしょう。


過去のやり取りを残すべきか、部分引用したほうがよいかの判断に迷ったら、「やり取りは残しておいたほうがいいですか」と相手に聞いてもよいでしょう。


普段は部分引用しているが、相手が全文引用しているのでそれに合わせる、ということもあります。


用件が複雑でなければ、全文引用と部分引用どちらの方法でも、返信のスピードに大きな差はありません。ただ、メールに複数の質問が書いてあると、それぞれに回答するなかで、全文引用ではどれが何に対する回答かわからなくなることがあります。


この場合、部分引用なら一問一答のように書くことができるので回答モレはなくなり、相手も自分の質問と回答を確かめながら理解することができます。



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