Netpress 第1977号 手書きで“心”を動かす! 相手に好印象を与えるビジネスハガキのマナー

Point
1.ITツールが主流のいまだからこそ、あえて手書きのハガキを送ることが、予想以上の効果をもたらします。
2.最低限の手書きのマナーを押さえた、相手に好印象を与えるビジネスハガキのポイントを紹介します。


手紙文化振興協会代表理事 むらかみ かずこ

1.なぜいま手書きのハガキか

ハガキや一筆箋を使った「手書きのひと言」が、いま顧客の心をつかむビジネスツールとして、大きな効果を上げています。

プライベートからビジネスまで、誰もがスマートフォンを利用する時代になぜ、と思われた人も多いでしょう。

たしかに、要件を伝えるだけならメールやチャット、SNSなどで十分です。しかし、これらのコミュニケーションツールは、ともすると読み手に冷たい印象を与えかねません。だからこそ、SNSなどでは絵文字やスタンプを駆使して、気持ちを伝える工夫をしているのです。

その一方で、手書き文字からは送り手の気持ちや温かみが伝わってきます。ほんの数日前のメールのことは思い出せなくても、手書きのハガキなら、数か月前のものも記憶に残っているということが少なくありません。デジタル・AIの時代だからこそ、一対一の気持ちが伝わるやりとりに心が動くのです。

では、文章が苦手な人でも簡単にできる、顧客の心をつかむビジネスハガキの書き方を紹介していきましょう。

2.ビジネスハガキの5つの要素とは

ビジネスハガキには、大きく分けて、次の5つの要素があります。


1.紙(ハガキ)を選ぶ   2.筆記具を選ぶ   3.文章を考える   4.文字を手書きする   5.切手を貼る


このなかで、受け取ったときの第一印象を決める最も重要な要素は、1の「紙」。つまり、ハガキそのものです。経験上、紙が7割、4の手書き文字が2割、残りの1割が5の切手です。

たとえば、最近届いた手書きの一通を思い出してみてください。それは年賀状かもしれませんし、お子さんから届いたメッセージカードかもしれません。そこに書かれていた言葉を正確に思い出せる人が、はたしてどのくらいいるでしょうか。

書くときには文章で悩みがちですが、受け取る立場になって考えてみると、印象に残るのは文章だけではないのです。私たちの脳は、文章よりビジュアルに強く惹かれます。新聞を読むとき、本文より先に見出しや写真に目がいくのと同じように、ハガキにおいても「なんてきれいな紙なのだろう」「こんな切手があるのか」などと、まず見た目のデザインに心を動かされるのです。

人との出会いで第一印象が大切なように、手書きのハガキも見た目のデザインに気を配ることが重要です。


3.相手を想像しながら「道具」を選ぶ

ハガキを選ぶときには、次の3つのポイントがあります。

1.季節にちなんだ絵柄(草花、風景、風物詩など)季節にちなんだ絵柄のものは、いつでも、どんな職業の人にも、気持ちよく受け取ってもらえます。
2.縁起物の絵柄(招き猫、富士山、宝船、ふくろう、四つ葉のクローバーなど)縁起物は、「捨てたらバチが当たりそうだから、身近に置いておこう」という気分にさせる効果もあります。
3.趣味にちなんだ絵柄(音楽、ペット、日本の伝統文化など)趣味にちなんだ絵柄は、猫好きの人には猫の絵柄など、「あの人にはどんな絵柄がいいか」と、相手を想像しながら選ぶことが大切です。

仮に、相手の趣味を知らなくても、年齢、性別、職業や、自社商品・サービス等の特性をふまえれば、「女性に好まれる紙のほうがよさそう」とか、「トラディショナルな紙がふさわしいのではないか」などと想像できます。その想像するという行為が、互いの心の距離を縮めるのです。これらは、切手を選ぶ際にも同じことがいえます。

4.文字を印象的に見せるポイント

文字は美しく書くより、読みやすく書くことを心がけましょう。

その際、次の3つのポイントを意識すると、印象的な文字が書けます。

1.大きく書く

2.太字で書く

3.青で書く


■ビジネスハガキの例


日本には墨文字の文化がありますから、青で書くことを意外に感じるかもしれません。しかし、手書きのハガキは書類ではありません。「ありがとう」の気持ちを伝え、相手の健康や発展を願って送るものですから、必ずしも形式にとらわれる必要はないのです。
最も気をつけなければいけないのは、相手の名前・会社名を間違えないこと。特に、名前の漢字は間違えやすいものですから、名刺やメールの署名欄を確認しながら慎重に書きましょう。紙選びからはじまり、文字の色や切手などのすべての要素に意識を向けることで、「より強く心に刻まれる1枚」になります。

5.セールスの言葉は厳禁

文章面でのポイントは、売り込みの言葉を書かないことです。とりわけ、購入するまでに悩みが大きい高額商品(生命保険、住宅・不動産、車、冠婚葬祭や各種コンサルティングなど)の場合、売り込みの言葉は嫌悪感につながりやすいため、厳禁です。
また、長々と紙いっぱいに文字を書き連ねるのもマナー違反です。長文の手書きのハガキは、相手に無用なプレッシャーを与え、かえって心の距離を広げる結果になりかねません。伝えたい気持ちは、文字数に比例するわけではありません。文字は数行で十分、長くなりすぎないように注意しましょう。


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