株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【環境】23年9月
【業界アウトライン】
2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」では、今後の対応として、製造業の構造転換(燃料・原料転換)や再生可能エネルギーの主力電源化等が挙げられており、太陽光発電や燃料電池の普及促進を図るとしている。
2023年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」では、今後の対応として、製造業の構造転換(燃料・原料転換)や再生可能エネルギーの主力電源化等が挙げられており、太陽光発電や燃料電池の普及促進を図るとしている。
業務・産業用燃料電池システム市場
※出典 矢野経済研究所
市場環境
・2023年の業務・産業用燃料電池システム市場規模は、690MW(対前年比143.8%)と見込まれる。
・同システムの主な用途は、発電目的、バックアップ電源目的、コジェネレーション目的になる。
・現在は、ガスから水素を取り出して発電する方式が主流であるが、水素を直接供給して発電する純水素型が発売され始めており,水素インフラの整備とともに、純水素型が増加する可能性がある。
業界動向/事業者動向
・同市場では、シェールガス革命を背景に天然ガスを利用した発電が進む米国と、政策により普及が進んでいる韓国がシェアの大半を占めており、日本や欧州では、タービンやエンジン等を利用するコジェネレーションシステムに対する優位性を打ち出せず、導入があまり進んでいない状況にある。
・同市場は、発電用途の理想的な設置条件を満たす地域での需要が満たされること、大手事業者が水電解装置に注力し、リソースが分散されることなどにより、成長が鈍化するものの、中国でモビリティ向けに展開してきた事業者が業務・産業用途にも参入する動きがみられ、引き続き市場拡大が見込まれる。
廃太陽光パネルリユース・リサイクル市場
※出典 矢野経済研究所
市場環境
・2023年度の同市場規模は、45万8,000枚(リユース市場:24万8,000枚、リサイクル市場:21万枚)と見込まれる。
・同市場では、当面はリサイクル市場よりもリユース市場の規模が大きい状況が続くものの、2020年代後半から住宅用太陽光発電の卒FIT(Feed-in Tariff)設備などで製品寿命を考慮した排出が徐々に増えていくとみられる。
業界動向/事業者動向
・太陽光発電の導入量拡大や政府・地方自治体の政策などを踏まえて、民間企業では事業化を目指す動きが広がっており、リサイクル事業者をはじめ、総合商社、電力会社、機械メーカー、化学メーカーなどで、廃太陽光パネルのリユース・リサイクルのスキーム構築や研究開発の動きがみられる。
・一方で、廃太陽光パネルは発生する時期と量を予測することが難しく、リユース・リサイクルによる安定した収益を見込みにくいことから、予測精度を高めるために、太陽光発電所の遠隔監視や定期点検などで異常や不具合に関するデータの蓄積があるO&Mサービス事業者との情報共有・連携が期待される。
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