株式会社矢野経済研究所 提供 注目市場レポート【運輸・倉庫】22年9月

【業界アウトライン】
2021年度の物流総市場規模は、21兆5,810億円(前年度比107.7%)と見込まれる。特に、海上・航空輸送の需給ひっ迫による輸送運賃の高騰から、海運、航空貨物輸送、フォワーディング等の市場規模が拡大する傾向にある。

3PL(Third Party Logistics)市場


※出典  矢野経済研究所


市場環境

・2021年度の3PL市場規模は、4兆6,000億円(対前年度比100.9%)と見込まれる。

・3PLとは、倉庫業務及び輸送業務に加え、そのシステム提案・企画提案などを含めて、包括的にサービスを提供する事業を指す。

・同市場は、自動車関連産業などの荷動きが回復基調であることや医療関連やEC物流などの事業拡大の影響から、今後も市場規模の拡大が見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場では、EC分野、低温食品分野、医療機器・医薬品関連分野などが特に拡大している。かつてはメーカー系物流事業者の参入が多く見られたが、近年では、業態を問わずに多くの有力物流事業者が参入しており、市場の寡占度は低いとみられる。
・また、物流業界の共通の認識として、人手不足を背景とした倉庫業務や物流全体の自動化、省人化・省力化が大きな課題とされている。今後は、業務効率化や事業規模の拡大を目的として、IoTを用いた各種倉庫オペレーションシステムやAI・物流ロボットを導入する動きが加速すると見込まれる。

フォワーディング市場


※出典  矢野経済研究所

市場環境

・2021年度のフォワーディング市場規模は、1兆6,500億円(対前年度比105.1%)と見込まれる。
・フォワーディング事業とは、荷主から有償で貨物を預かり、他の運送事業者に輸送を委託して目的地まで貨物運送を行う事業を指す。
・同市場は、世界経済及び政治の影響を受けやすいものの、参入事業者の多くがロジスティクス力を高め実績を伸ばしており、今後も市場規模の拡大が見込まれる。

業界動向/事業者動向

・同市場では、今後の医薬品や医療機器などのヘルスケア領域の需要拡大を見込み、多くの航空フォワーダーが医薬品の流通過程での品質管理基準であるGDP(Good Distribution Practice)認証を取得するなど、グローバルな医薬品物流網の構築に注力する動きがみられる。
・また、有力事業者の中には、輸送状況をリアルタイムで確認できる高水準のトレーサビリティや、高精度の需要予測による在庫管理など、世界規模のICTネットワークを活かした3PL拡大との相乗効果でフォワーディング事業を拡大する動きがみられる。

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