Netpress 第2288号 まだ間に合う! インボイス制度を迎える前に確認しておくべき3項目

Point
1.2023年10月より、消費税の仕入税額控除要件であるインボイス制度が開始されます。
2.買手側と売手側のそれぞれが、制度開始までに確認しておきたい3つの項目について解説します。
※本記事は、2023年5月末時点の情報に基づいて作成しております。


株式会社プラリタウン
西脇 友哉


2023年10月より開始される「インボイス制度」は、消費税を納める必要がある企業や個人事業主(買手と売手双方)に影響があり、企業ごとに対応すべき事項が異なります。


■インボイス制度の概要
 インボイスとは、日本語で適格請求書を指し、一定の要件を満たした請求書や納品書などが適格請求書に当たります。2023年10月より開始されるインボイス制度において、課税事業者である買手が、消費税を納税する際に仕入税額控除を受けるためには、一定の要件を満たしたインボイス(適格請求書)の保存などが必要となります。
 また、適格請求書発行事業者である売手は、買手から求められたときは、インボイスを交付する必要があります。適格請求書発行事業者とは、税務署長の登録を受け、インボイスを発行することを認められた課税事業者のことです。インボイスの発行は、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者のみが行うことができます。


制度開始を迎えるにあたり、一般的に必要な確認項目を以下に記載していますので、「まだ対応が終わっていない」という方や「いまの自社の対応で良いのか不安だ」とお思いの方も、本記事をお読みいただきながら、落ち着いて確認してみてください。

1.適格請求書を受領する買手側の確認3項目

適格請求書を受領する買手側の確認事項は、仕入税額控除のためにインボイスの受領や保存等が必要な事業者が対象となります。


(1)取引先のインボイス制度対応状況を確認しましょう

仕入れ先が、インボイス発行事業者登録を終えているか確認した

仕入れ先の登録番号を入手した
(国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」
   https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/ からも入手可能)

受け取る請求書が、記載事項を満たしているか確認した
<適格請求書として一般的に必要とされる記載事項例>
①発行者の氏名または名称  ②交付を受ける者の氏名または名称  ③取引年月日
④取引内容  ⑤税率ごとに合計した対価の額  ⑥軽減税率の対象である旨
⑦税率ごとの消費税額・適用税率  ⑧登録番号



(2)受け取った請求書をどのように保存・管理するか確認しましょう

請求書を「適格請求書発行事業者」もしくは「免税事業者」のどちらから受け取ったか、区分して管理できる

電子で受け取った場合には、電子帳簿保存法に則った保存ができる



(3)帳簿への記載方法や仕入税額の計算方法を確認しましょう

インボイス保存が不要な特例や免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置の適用について確認した(帳簿への記載方法を確認した)

端数処理や仕入税額の計算方法を確認した

2.適格請求書発行事業者である売手側の確認3項目

適格請求書発行事業者である売手側の確認事項は、税務署へ「適格請求書発行事業者」の登録申請を行い、登録を終えた事業者が対象となります。


(1)適格請求書の準備をしましょう

インボイス交付を希望している取引先を確認した

請求書、領収書、レシート等、インボイスとして交付する書類を取引先と確認した

区分記載請求書の記載事項のほか、「適用税率」、「税率ごとに分けた消費税の金額」や「売手側の名称、登録番号」などを追加した請求書フォーマットを作成した



(2)適格請求書の発行方法について確認しましょう

取引先とインボイスの交付方法について確認した(紙or電子等)

交付したインボイスの写しの保存方法を自社内で策定した



(3)帳簿への記載方法や売上税額の計算方法を確認しましょう

売上税額の計算方法を確認した


以上、インボイス制度の開始までに確認しておきたい項目がおわかりいただけたかと思います。本記事は、一般的な情報を記載したものであり、対応に不安がある方や、個別具体的なご相談をされたい方は、顧問税理士や税務署へご相談してみるようにしてください。上記の準備を終えた後も、社内の購買部門や、販売・営業部門等、請求業務に関わる部門への事前の説明等も必要でしょう。


また、制度に対応した請求書の発行・受領による経理業務の負担増加も懸念されます。インボイス制度や電子帳簿保存法に対応したシステムの導入や移行も併せて検討してみましょう。


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