一口メモ 煙が目にしみる

朝礼時の挨拶や、経営のヒントにーー。日常の光景や歴史のエピソード、季節の話題等さまざまなトピックスを題材にまとめたミニコラムです。



 日本の愛煙家にとって、今からちょうど半世紀前の1972年4月はひとつの画期だった。たばこのパッケージに「健康のため吸いすぎに注意しましょう」の文言が記載されるようになったのである。当時の喫煙率は、男性77.6%、女性15.5%だった。


 パッケージ側面に記載された、この控えめな注意喚起が“警告”に変わったのは2005年。喫煙を抑制するたばこ規制枠組条約が発効し、日本も加盟。現在、警告表示はパッケージ表裏の50%以上の面積に表示することが義務付けられている。


 警告文は長文化し、より具体的に健康へのリスクを訴える文言の種類も増えた。喫煙率は2019年に男性27.1%、女性7.6%となったが、リスクを承知で喫煙する愛煙家にとって、自身の健康被害を突かれるより、コロナへの備えと同様、子供や周囲へのリスクを訴求した文言が痛かったのではないか。


 有名なジャズのスタンダード・ナンバー「煙が目にしみる」は、「みんなが私に聞く/あなたの愛は本物かと/もちろん私は答える/心に嘘はつけないと」というフレーズで始まる。愛煙家の目に煙がしみ続けた半世紀だったかもしれない。


◎「一口メモ」2021年4月号

プロフィール

InfoLounge編集部

SMBCビジネスクラブ「InfoLounge(インフォラウンジ)」は、企業経営や人材育成、法務、労務などの領域で、実務に今すぐ役立つ情報をお届けするコミュニティサイトです。著名人へのインタビュー記事や注目企業への取材レポートのほか、実務支援コンテンツ、動画、セミナー・お役立ち資料など、盛りだくさんの内容で様々な情報をお届けします。

受付中のセミナー・資料ダウンロード・アンケート