ティーペック株式会社 鼠家和彦 代表取締役社長兼CEOインタビュー 経営者こそ社外で学び続けよ──「SMBC経営セミナー」で得た、かけがいのない人脈と気づき

SMBCコンサルティングでは経営層向けに実践的なノウハウを提供する「SMBC経営者研究会経営セミナーコース(以下、SMBC経営セミナー)」や、経営者同士の研鑽と交流を目的とした「SMBC経営者研究会(以下、SEC=SMBC Executive Club)」を運営。ここでの学びは、経営現場でどう活かされるのか──SEC会員であるティーペック株式会社の鼠家 和彦代表取締役社長兼CEOに伺いました。



“新しい健康インフラ”を目指す、ティーペック株式会社


1989年創業のティーペックは、24時間・年中無休で医師や、保健師・看護師等の有資格者に健康医療相談ができるコンタクトセンターを運営し、セカンドオピニオンの手配やメンタルヘルスカウンセリング、生活習慣病の重症化予防などに寄与する事業を展開しています。


鼠家 「約130名の看護師と約90名の心理カウンセラーを擁し、いつでも気軽に健康相談ができる体制を整えています。1,500以上の団体・企業様などとお付き合いがあり、企業の福利厚生としてサービスを利用される場合もあれば、保険会社の付帯サービスやカード会社様がゴールド会員やプラチナ会員向けのサービスとして提供されるケースなどもあります」


2015年の労働安全衛生法改正により、企業にストレスチェックが義務づけられたり、コロナ禍以降は従業員の健康に気を配る企業が増えたりした背景から、近年はメンタルケアやカウンセリングサービスの提供を始める企業が急激に増加。しかし、当該分野で30年以上にわたり事業を展開してきたティーペックには、独自の強みがあるといいます。


鼠家 「われわれは、“人のからだとこころは切り離せない”という考えから、看護師と心理カウンセラーの両方を置くことを強みとしています。実際、体の不調を訴える相談者とお話する過程で、背景にストレスの問題があることを看護師が察し、心理カウンセラーと連携して対処する、というケースもあります」


こうしたサービスを展開するティーペックでは、“日本の新しい健康インフラになる”というビジョンを掲げています。


鼠家 「日本は医療費が安く、医療機関にアクセスしやすいという利点があります。一方で、たとえば“がん”というキーワードでウェブ検索すると数千万件以上の検索結果が表示されるなど、自分に最適な情報を選び取るのが難しい状況にあります。


そこで、各種専門の医療機関とも提携している私たちの存在を通して、相談者の方が最短で最適な医療に到達できるようお手伝いできればと思っています」


こう語る鼠家社長が現職に就任したのは、2020年11月のこと。30年以上の歴史を引き継ぎつつも、サービスや組織をより洗練されたものにしていくために、社内のディスカッションを大事にしているといいます。


鼠家 「活発なディスカッションをするためには、フラットな組織作りが欠かせません。その一環として、役職で呼び合うことを廃止し、私自身も社員から『鼠家さん』と呼んでもらっていますし、社長室の扉は常に開けたままにしています。


また先日は、『テレワークをどのような割合で続けていくべきか』というテーマのワークショップに参加し、メンバー層と話し合いました。トップダウンではなくボトムアップで組織を変えていくためには、経営層だけでなく現場の社員と定期的にコミュニケーションを取ることが大事だと思っています」



1年間で100人以上の経営者ネットワークを形成

▲SMBC経営セミナーではさまざまなテーマの講義が実施されている(一部画像を修正しています)


ティーペックでは、かねてよりSMBCコンサルティングのサービスを利用しており、階層別に社員向けの研修を提供していました。鼠家社長が初めてSMBC経営セミナーに参加したのは2017年、執行役員に就任したときでした。


鼠家 「SMBC経営セミナーの32期生として、2017年12月から2018年8月までの間、経営戦略やマーケティング、人事評価、危機管理、管理会計と幅広く実践的なテーマの講義を受けました。とても学びが多いと感じたため、社長に就任して以降、SMBC経営セミナーは当社の経営会議に参加するメンバーに必須で受講してもらうようにしています」


また、社長就任後はSMBC経営セミナーの卒業生が参加する「SEC」にも加入。毎月1回、著名人による講演を聴講し、会員同士の交流を深められるコミュニティに参加しています。


鼠家 「研修や勉強会に参加する際、『必ず何かひとつは持ち帰って実践すること』を常に意識してきました。自分主導ですぐに実践できることは行いますし、必要に応じて社内の各部署に学びを展開して、業務改善に役立ててもらっています」


とくにSECでは、経営者あるいは経営層同士の横のネットワークを作れる点が大きな魅力だと話す鼠家社長。実際、参加して1年ほどで100人以上の経営層と知り合ったといいます。月1回の会合の開催を待たずして、普段から連絡を取り合い、情報交換ができる仲間にも出会えました。


鼠家 「規模も業種もさまざまな企業の経営層とお話ししましたが、共通する課題も多いですし、異業種だからこそ取り入れられる解決策もあると感じています。こうした機会がなければ、自社とまったく取引関係にない企業と接点を持つことは意外と難しいもの。参加者の意志次第でいくらでもフラットなネットワークを形成できる点で、素晴らしい活動体だと思っています」



SECだからこそ出会えた信頼できる仲間。豊富な事例を企業活動に活用


▲SECでは国内の視察会も実施。写真は沖縄県の石垣島を訪問した際のもの(一部画像を修正しています)


SMBC経営セミナーやSECで得た学びは、社内に持ち帰って共有し、積極的に企業活動に活かしているという鼠家社長。


鼠家 「執行役員時代に参加したSMBC経営セミナーで、“危機管理”をテーマにした記者会見のロールプレイングを行ったことがあります。不祥事を起こした企業という設定のわれわれに、記者経験のある講師が厳しく突っ込んでくる、とてもリアルな内容で、この経験は非常に役立ちました。当時私はコンタクトセンターを担当していたので、社内の対応に課題があると気づき、すぐに体制強化したのを覚えています」


また、SECを通じて他社の経営層とつながりができ、そこから得た情報を参考にする場面も多いといいます。


鼠家 「具体的な例としては、“コロナ禍でセキュリティルームのドアを開けるかどうか”というテーマが挙げられます。『開けてはいけない』というのが一般論だと思いますが、コロナ禍という特殊な状況下ではどう対応すべきか迷っていたんです。そんな折、他社の経営層の方から『うちは昼間は開けていて、夜間は閉めている』など、さまざまな事例を聞くことができました。豊富な検討材料を得たことが、社内の方針を固めることにつながっています」


他社の施策をそのまま実践するのではなく、さまざまなサンプルを集めた上で、自社にとってベストな決断のための材料にしていると話す鼠家社長。人事制度に関しても、他社の意見を参考に改定を進めたケースがあるといいます。


鼠家 「近年“ジョブ型”という言葉をよく耳にしますが、SECのメンバーと話す中で、『流行しているから取り入れるのではなく、社内でしっかり議論し、自社オリジナルのジョブのあり方を模索することが大事だ』とあらためて気づかされました。実際、検討課題として長期ビジョンの中にも含めており、今も人事部門を中心に引き続きディスカッションを続けています」


意見を参考にできるのは、単に経営者同士であるからではなく、互いが信頼できる仲間であるからこそ。その点に、コミュニティとしてのSECの意義があると、鼠家社長は話します。


鼠家 「SECに参加している経営層は、皆それぞれのビジョン実現に向けて前進している方ばかりです。たとえば単発の講演会で知り合い、名刺交換した方がいたとして、ベースのところで共感できる方なのかを確認するまでには時間を要するもの。それに比べて、SECに参加しているという時点で熱量や想いが似ているという安心感があり、何事も話が早いのです」


SECには、30〜80代の幅広い年代の経営層が参加。大先輩のベテラン経営者から学ぶこともあれば、若いメンバーから気づかされることも多く、日々新しい刺激にあふれているといいます。



大切なのは学びを貫く姿勢。外部交流の経験を、より良い意思決定につなげる


▲鼠家社長は2017年にSMBC経営セミナーに参加し、その後、SECにも加入した(写真はティーペック株式会社提供)


いかに多忙を極めようとも、学びを貫く姿勢が経営者や経営幹部には欠かせないと語る鼠家社長。次のように続けます。


鼠家 「SMBC経営セミナーは実践的なプログラムであり、参加する時間を作り出すことは、自身が経営者として何にウエイトを置くかを考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。また、『これは何の役に立つものか』『今必要なのか』を自問自答し、参加する意義づけをすることにも大きな意味があると思います」


また、SECで出会った仲間との情報交換は、いまでは生活の一部に。ネットワークを作るためには、やはりリアルで接点を持つことが大切だといいます。


鼠家 「メインプログラムとなる講演はもちろんのこと、私はその前後の時間が大事だと思っています。できるだけ早く会場に行くことや、終わった後もすぐに帰らず積極的に会話する機会を設けるよう心がけています。そうした積み重ねによって、貴重なネットワークを構築してきました。今後、ティーペックの社長を引き継ぐ人にも、私と同じようにSECに参加し続けてほしいと思っています」


SECへの参加を通じて、社外ネットワーク構築の重要性に改めて気づいたという鼠家社長。社内のメンバーにも積極的な外部交流を促しています。


鼠家 「34年間にわたり成長し続けてきた当社の中には、過去の成功体験を参考にしようとする傾向がありました。でも最近は、私が『外部の情報と比較しましたか?』『いいアイデアだと思いますが、他社ではどうですか?』と口癖のように聞いているので、社員も社外のコミュニティに参加し、社外の情報を積極的に取りにいく習慣がついてきたようです。社外でお墨つきをもらえば、それだけ自信にもつながると思っています」


組織全体が社交的かつ前向きに変化を遂げているティーペック。現状にとどまらず、さらなる成長を目指す同社にとって、SMBCコンサルティングはどのような存在なのでしょうか。


鼠家 「SMBCコンサルティングの事務局が持つ運営ノウハウが、SMBC経営セミナーやSECの魅力のひとつだと思っています。素晴らしいプログラムを用意するだけでなく、参加者同士の交流の機会もうまく提供してくれますし、コロナ禍で運営が難しい中でも常に『SECはどうあるべきか』といった軸に沿って、会を開催し続けてくれました。今後もそういった姿勢は変えることなく、サポートしていただければと思っています」




・ティーペック株式会社の詳細はこちら(同社のホームページに遷移します)

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