Netpress 第2163号 活用法は? 留意点は? ハローワークインターネットサービスの機能が強化されました
1.「ハローワークインターネットサービス」は、就職支援・雇用促進のための情報を提供するサイトです。
2.オンラインでの求人応募が可能になるなど、サービスが拡充されたので、その概要、留意点を確認します。
社会保険労務士・ハローワーク求人アドバイザー
五十川 将史
ハローワークインターネットサービスの「求人者マイページ」は、ハローワークにおける求人サービスをオンライン上で受けられる事業者向けの専用ページです。ハローワークインターネットサービスからオンライン上で開設することができ、各種求人サービスを利用することが可能です。
2021年9月21日から、この求人者マイページに新しい機能が加わりました。
1.求人者マイページの新機能
(1)オンラインハローワーク紹介
「オンラインハローワーク紹介」は、これまでハローワークの窓口で行われていた職業紹介について、オンライン上で行うことを可能とするものです。
具体的には、求人者マイページを通じて、ハローワークからオンラインで職業紹介を受けることができます。求職者とのやり取りが求人者マイページで完結するため、採用業務を効率化することができます。
オンラインハローワーク紹介は、すべての求人が紹介の対象となります。ハローワークで職業相談を受けた求職者を対象に、求人との適合性をハローワークの職員が判断し、紹介します。
求職者が応募すれば、紹介状や応募者の志望動機が書かれた応募通知が求人者マイページに届き、その後の面接日時の調整などもメッセージ機能で行うことができます。
なお、オンラインではありますが、ハローワークの職業紹介となるため、ハローワーク等の職業紹介を要件とする助成金(トライアル雇用助成金など)の支給対象となります。
(2)オンライン自主応募
「オンライン自主応募」は、その都度ハローワークを介することなく、求人者マイページ上で、求職者から直接応募を受けることができるようにする機能です。
ハローワークインターネットサービスに掲載してある求人を閲覧した求職者が、気になる企業に対して、ハローワークを介さずに直接応募する仕組みです。
ハローワークの窓口に出向いて求職登録をしている求職者に加えて、ハローワークインターネットサービスのみに登録している求職者も応募できるため、応募者層が広がる可能性があります。
なお、オンライン自主応募は、ハローワークの職業紹介とはなりません。そのため、ハローワーク等の職業紹介を要件とする助成金(トライアル雇用助成金など)の支給の対象外です。
(3)応募書類の管理や選考結果入力の効率化
オンラインハローワーク紹介、オンライン自主応募ともに、求人者マイページを介して、求職者から直接、志望動機のメッセージや応募書類を受け取ることが可能になりました。
また、従来、求人者マイページから選考結果を登録できるのは、求人が有効中の場合のみとなっていました。今回の機能強化により、求人期間が過ぎて求人が無効とされた後も、無効となってから3か月後の月末までは、求人者マイページから選考結果を登録することができるようになりました。
応募者は、採否通知があるまで不安な状態で待っていますし、他の企業への応募を差し控えている場合もあります。
応募者やハローワークからの企業イメージに影響することも考えられますので、採用選考終了後は、速やかに採否結果を求人者マイページに登録・反映することが求められます。
2.実務上の留意点
以下、新機能を有効活用するためのポイント、留意点を確認していきましょう。
(1)企業・求職者双方の「マイページ」の開設が前提
企業が求人者マイページの機能を活用するためには、仕事を探している求職者の側でも「求職者マイページ」を開設していることが前提となります。
今回の機能強化で、求職者もハローワークの窓口を訪問することなく、オンライン上で求職者マイページを開設できるようになりましたので、今後は特に若年者や在職者の利用の増加が期待されます。
(2)オンライン自主応募の受け付けの設定が必要
2021年9月21日より前に登録された求人については、「オンライン自主応募を受け付けない」に自動設定されています。そのため、オンライン自主応募の受け付けを希望する場合には、求人者マイページから、求人条件変更の手続をする必要があります。
設定は求人ごとに行うことができますので、募集職種や緊急度などの採用方針により使い分けることも可能です。
(3)オンライン自主応募では、ハローワークからの応募連絡がない
求職者がオンライン自主応募をすると、求人者マイページに応募通知(オンライン自主応募)が届きますが、ハローワークからの応募連絡はありません。
応募者に対する誠実な対応は、採用の成功はもちろんのこと、自社のイメージアップにもつながります。応募者に迅速に返信したり、トラブルを防止したりするためにも、求人者マイページを定期的に確認して、応募の有無をチェックする必要があります。
(4)安易な応募も含まれる可能性がある
先述したように、ハローワークの窓口で職業相談を受けていない求職者も求職者マイページを開設することができ、オンラインによる応募も可能となりました。
ハローワークが求職者と求人の適性の確認を行っていない場合、募集要件に合致しない求職者が安易に応募してくる可能性も考えられます。
求人者(企業)としては、仕事内容をわかりやすく説明し、求める人物像をより具体化した求人の作成や画像情報の活用、選考における就労意思や志望理由の見極めが重要となってきます。
オンライン自主応募に代表されるように、オンライン上での機能強化が図られたものの、ハローワークの窓口では引き続き、求職者が応募しやすい求人条件や求職票の記載に関する助言・援助が行われています。
オンラインハローワーク紹介は、ハローワークの窓口で職業相談を受けた求職者が対象になることから、ハローワークに積極的にアドバイスを求めたり、情報提供をしたりすることで、求職者とのマッチングも期待できるでしょう。
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