コラム「絵心のススメ」第2回 似顔絵が、ご縁を紡いでくれる

仕事を通じて出会う人たちのイラストを描くようになった、とある似顔絵描きの独り言。



絵を描くのが好きだった私が本格的?に似顔絵を描くようになったのは、17年ほど前。銀行員だった当時、新規のお客さまへ飛び込み営業をしていた頃だ。


真夏のある日、時季外れの人事異動があって、課長が出向することに。夏休みウィークで人の少ない淋しい送別会となったので、ふと思い立ち、飲み屋のすみっこでシコシコと似顔絵を描き、みんなで寄せ書きして渡したのが始まりだ。


喜んで頂けて良かったなぁと思っていたら、次の人事異動のシーズン、当時の上司から「今回は無いの?」「え?なにが?」「似顔絵~」と催促されて、それからは転勤する人に似顔絵色紙を渡すのが定番になった。たいした成績も上げていない自分が役に立てたのが嬉しかった。最初は驚いたけれど、きっかけをくれたその人には今でも感謝だ―――。


振り返ってみると、それまでも折に触れて似顔絵を描いていた。


学生時代は文集の表紙に仲間たちを描いたり、社会人になってからも時々プライベートで後輩に頼まれたり、と。日々の仕事のなかで、そんなことはさっぱり忘れていた。そもそも仕事の場で描くなんて、とも思っていた。


でも、あの日、サッカー好きの課長がボールを足元に腕組みした勇姿を描いてみたことで、何かが転がり始めた。


以来、転勤する先々で、似顔絵を描く習慣、スタイルがスタートした。最近では、画用紙とカラーペンを、いつもカバンに入れて持ち歩いている。


夏に転勤していった課長は、その後も大活躍。似顔絵を催促した上司は今でもたまに「ちょっと恩人の似顔絵描いてよ」と頼んで来てくれて嬉しい。いろいろなご縁が、自分の一番好きなこと、得意と思えるところに、私を連れて来てくれた気がする。


さて今日の似顔絵は、糸井重里さん。「ほぼ日の學校」を主宰され、教育分野も進めていらっしゃる。我が社とコラボ出来ないか思案中。


プロフィール

SMBCコンサルティング株式会社 常務執行役員 遠藤宏之

1989年住友銀行(現・三井住友銀行)入行、法人部門やリテール部門を経て現職。40歳ごろから行内で似顔絵を描く機会が増え、当サイトでも制作した似顔絵を所々で提供。

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